「CRMを導入すると実際のところ何がどういいのだろう」
「自社でCRMを導入して、具体的に何ができるようになるのか」
CRMの導入を漠然と考え始め、費用対効果や導入タイミングなどが気になってきたところなのではないでしょうか。
結論から言うと、すべての成長を望む企業にとって、CRMの導入は必要不可欠と言えます。
なぜなら、CRMの導入によってあらゆる段階の顧客情報を社内で一元管理することができるようになるため、顧客中心の戦略が実現でき、顧客一人当たりの生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)を高めることができるからです。
成長企業はCRMの導入により、売上を拡大させ、事業を次のステージへとスムーズに移行させることができます。
そして顧客との良好な関係を長期的に維持することで、売上が増加・安定するため、新規顧客の獲得や新規事業の展開に十分な予算を割り当てることができ、さらなる高みを目指すことが可能になるのです。
ただし、CRMの効果を最大限にするために、企業によってはCRMの導入より先に解決すべきことがあるケースがあるため注意が必要です。
そこでこの記事では、CRMの導入が成長企業にどのような効果をもたらすのか、事例を参考にしながら見ていくとともに、CRMの効果を最大限にするための導入準備について、詳しく解説していきます。
本記事を読んでわかること
この記事を読むことで、CRMの導入を成功させ、事業の成長を具体的に描くことができるようになります。
CRM導入について、動画で概要をご確認されたい場合はこちらをご覧ください。
CRM(顧客関係管理システム)は、成長を目指す企業にとって不可欠なツールです。
なぜならCRMは、営業、マーケティング、サポートなど、顧客に関わるすべての部門にわたる顧客情報を一元管理し、顧客中心の戦略を通じて、顧客一人当たりの生涯価値(LTV:ライフタイムバリュー)を高めることができるからです。
例えばCRMは、成長企業が抱える以下のような問題を解決することができます。
企業が抱えている問題 |
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業務効率 |
・PDCAサイクルが回っていない |
既存顧客 |
・御用聞き営業になっていて提案ができていない |
新規顧客 |
・リストが活用できていない |
顧客情報を社内で一元管理すると、顧客にとって必要な情報を必要なタイミングで全社一丸となって提供できる体制を整えることができます。
この取り組みにより、既存顧客との良好な関係を構築することが可能になるため、顧客満足度の向上を図ることができます。 リピート率や継続率を向上させ、アップセルやクロスセルが実現して顧客の購買額の最大化が目指せるのです。
さらに、既存顧客からの安定した売上を確保することで、新規顧客獲得に向けた施策に十分な予算が充てられ、リード情報の管理によってナーチャリングを行い、最適なタイミングでアプローチをすることが可能になります。
このように、CRMは単にすでにある顧客データを管理することだけでなく、既存顧客の優良化や新規顧客の獲得を通し、企業全体の成長を支援することができるものなのです。
顧客との長期的な関係構築は、ビジネスの成長と安定した成功への鍵となるため、CRMの導入は成長を望むすべての企業にとって不可欠と言えるでしょう。
CRMを導入することで、具体的にどの業務プロセスでどのような効果が得られるのか、目安を把握することで、導入プロジェクトにおけるKPIの設定がしやすくなります。
新規導入からリプレイスまで、HubSpot社のCRMの導入事例を参考に見ていきましょう。
読売新聞グループは、150年の歴史を持ち、読売新聞を中心とした総合メディアでの報道を軸に、スポーツ・文化・エンターテインメントなど、さまざまな分野に強みを持っています。
業種 |
メディア&コミュニケーション |
企業規模 |
従業員201名以上 |
CRM導入の目的 |
・顧客データの可視化 |
朝夕刊の発行のほか、デジタル事業を展開することから、社内に散らばる顧客データの活用に大きな課題を抱えていました。
顧客データを収集する基盤も一括管理する策もない状態で、個人情報保護方針などのプライバシーポリシーを整理し、適切な管理の下であれば個人情報を扱っても問題ないことを、各部署に周知するところからの取り組みとなりました。
さまざまなバックグラウンドを持ち、全員のITリテラシーが高いわけではない現場社員に対し、「現場の誰もが使いやすい」という点を重視して、HubSpotのCRMを導入しました。
その結果、現在51部署600名超の社員が、あらゆる施策にCRMを活用するようになりました。
チラシで告知していたイベントの案内をメールに置き換えることで、イベントの申し込みに合わせて読売IDを取得できるようにしました。
それにより、グループ共通の会員IDである「読売ID」が、前年比2倍以上のペースで増加するという成果を上げています。
イベント案内をチラシからメールに置き換えたことにより、紙代・印刷代・輸送代といった物理的なコストを大幅に削減することができました。
また、メルマガ開封率などを取得することができるようになったことで、テーマや内容をより顧客目線で考えるよう、改善意識も培われました。
セキュリティや権限コントロールを厳格かつ柔軟に設定できるため、従来CD-Rなどに保存して手持ちで運んで管理していた顧客データの共有がスムーズになりました。
外部のパートナー企業に対しても、限定的なアカウント付与によって高いセキュリティの下でリアルタイムの共有ができるため、移動時間やバイク便の費用なども減らすことができています。
アンカー・ジャパン株式会社は、“充電”のグローバル・リーディングブランドの「Anker」をはじめ、オーディオブランド「Soundcore」、スマートホームブランド「Eufy」、スマートプロジェクターブランド「Nebula」などを世界100ヶ国以上で展開するハードウェアメーカーの日本法人です。
業種 |
eコマース(電子商取引) |
企業規模 |
従業員25~200人 |
CRM導入の目的 |
・業務効率の改善 |
HubSpotのCRM導入前はWeb接客やMA(マーケティングオートメーション)などさまざまなツールを併用していたものの、複数のツールを運用すること自体が業務上の負担となっていました。
これらを包括的に解決するシステムを求めて比較検討を進める中、CRMを軸にしてMA機能やSFA、カスタマーサポート支援機能が揃っているHubSpotなら、関係チームの課題が一気に解決できると感じて導入に至りました。
どの機能も直感的に使えるため、レクチャーが不要で習熟にも時間がかからず、導入してすぐに全チームの業務効率化を実現することができました。
ツールの一元化により管理工数が減っただけでなく、ランディングページやメルマガ作成機能の使い勝手の良さから、1つの施策を回すスピードが上がりました。
お客様ごとのステータスが自動で見える化されたことにより、抜け漏れなく進捗管理ができるようになりました。
問い合わせ内容によって提示する内容が変化する機能 (スマートフォーム) を実装することで、お客様の要望を効率的に把握できるようになりました。
それにより、導入前は2.0回だったやり取りの平均回数が1.6回にまで削減し、カスタマーサポートスタッフ1名分の業務効率化を実現しました。
カラクリ株式会社は、大手企業向けのAIチャットボット「KARAKURI chatbot」において国内トップクラスのシェアを獲得し、カスタマーサポート業界のAI活用を推進する企業です。
業種 |
ソフトウェア&テクノロジー |
企業規模 |
従業員25~200人 |
CRM導入の目的 |
・リードの増加 |
マーケティングの担当者が2名だけという慢性的なリソース不足の中、当時使用していたCRMシステムについて、以下のような不満が高まっていました。
営業やカスタマーの現場メンバーの日常業務にも悪影響があったため、CRMを始めとした全システムのHubSpot社製品へのリプレイスとMAの新規導入を行うことに決定。
2023年10月、展示会繁忙期の最中に、HubSpot社の導入支援担当者による細かいスケジュール設定とフォローによって、システム構築をわずか1か月で完了する早期立ち上げを実現しました。
「やりたいことが即実現できる環境」を1か月で構築できたことで、効果的な施策を次々に打ち出せるようになりました。
HubSpotの導入によってシステムの使いやすさが格段に向上したことで、マーケティング施策の数が増えただけでなく、実行速度も上がったことによって見込み客数が増加しました。
過去最高の名刺獲得数を得た展示会後、フォローメールに対する反響がHubSpot上で返信率として数値化されたことで、現場の士気が向上しました。
さまざまな分野で業務効率化が進み、空いたリソースで必要なコンテンツの作成に着手できるようになりました。
情報が繋がってデータを可視化できるようになったことで、効果的な施策が増え、リード創出につながるという好循環が生まれています。
業界別・企業規模別でほかの事例も見たい方は、「HubSpotの導入事例ページの導入事例を全て表示」からチェックしてみてください。
スタートアップや成長中の企業においては、CRM導入の前に、以下の問題を優先的に解決することで、CRM導入の効果を最大限に上げることができます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
顧客の問い合わせや営業の流れを明確にし、営業プロセスや顧客管理プロセスの可視化や文書化を行うなど、プロセスの標準化を進め、情報共有の基盤を整える必要があります。
ビジネスプロセスが確立していないと、CRMを効果的に使いこなすことができません。
なぜなら、CRMは既存のビジネスプロセスの中で機能したり、改善したりするものだからです。
営業プロセスや顧客対応のフローが確立していないと、CRMに入力する情報がバラバラになったり、必要な内容が抜け落ちたりしてしまいます。
すると、せっかくCRMを導入しても、分析したいデータがそもそも抽出できないという事態が発生し、CRMの本来機能を発揮できないのです。
CRMの活用には、全社的な協力体制が必要です。
なぜなら、CRMはチーム全体や社内全体で共有するツールなので、営業、マーケティング、サポートなどの各部門が一貫して活用することが求められるからです。
もしもチーム間での情報共有の文化や協力体制ができていないと、CRM導入後も情報が適切に記録されないため、せっかくの機能を使いこなすことができなくなってしまいます。
CRMの導入にあたっては、必ず事前にチーム間の情報共有文化や協力体制の文化を再確認あるいは再構築し、CRMを全社的に活用することの意義を周知することが非常に大切です。
CRMの導入と運用に必要なリソースを確保し、トレーニングの計画を立てる必要があります。
CRMの導入と運用には一定の時間と労力が必要です。
もしも導入や管理に必要な人的リソースが不足していると、システムが効果的に使われない危険性があります。
特にスタートアップや成長中の企業では、日々の業務に追われるあまり、CRMの導入やトレーニングのためのリソースを捻出するのが難しいというケースもあるでしょう。
【人的リソースがどうしても確保できない場合の対応策】
導入初期はできるだけ簡易的な設定や機能に絞り込んで活用し、徐々に拡張していくなどの方法も検討しておきましょう。
これらの問題を導入に先駆けて解決しておくことで、CRMの導入が大きな効果をもたらし、企業の成長を加速させることができます。
CRMの効果を最大限に引き出し、業務の効率化や顧客管理の質を向上させるため、以下の8つのステップを踏んで導入を進めていきましょう。
それぞれのステップで、現場の意見やフィードバックに耳を傾けることが成功のカギになります。
CRMの導入にあたっては、導入前から導入後まで、一貫して対応のできる社内の専任者が必要です。
通常はプロジェクトマネージャーやIT担当者、営業担当者などが、専任の担当としてCRMの導入を進めていきます。
専任の担当者がいることで、経営陣の意向を汲みながら、営業やマーケティング、カスタマーサポート、情報システムといった現場の各部署の従業員の意見も拾い上げてまとめることができるからです。
経営陣の理想や目標はもちろん大切な軸となるものですが、実際に日常的な入力作業を負うのは現場の従業員です。
上記のような、業務や作業ベースに落とし込んだ使いやすさを叶えることで、CRMの円滑な導入と、その先にある効果的な運用を行うことができます。
導入に関わる業務負担の増加に対する現場の反発が起こるケースもあるため、担当者はすぐに対応できる専任状態に置くことが望ましいです。
担当者を選ぶ際には、導入後の運用まで一貫して同じ担当者が関わることになるため、責任感が強く、各部門との連携を取ることができる人材を選ぶほか、もし人的リソースに余裕があるのであれば、各セクションから人材を集めて専任のチームを編成するのも良いでしょう。
何のためにCRMを導入するのか、目的と目標を明確にします。
企業の成長のために、CRMの導入によって達成したい上記のような目的を挙げます。
目的は具体的であるほど効果的です。
目的を明確にしないままでは、導入後に評価や改善が難しいだけでなく、自社の事業や業務に適合しないシステムを選んで使われなくなってしまうリスクがあるからです。
そして目的とは別に、どんな状態になったら課題達成されたと言えるかの目標数値(KPI)を設定します。
CRMの導入によって、どんな目的がどんな数値でもって解決されるのかを、明確にイメージできるようにしましょう。
専任担当者が各部署の担当者にヒアリングし、以下のような現行の業務フローにおける問題や要望を洗い出します。
また同時に、CRMに期待する具体的な要望についてもリストアップし、導入後の運用シーンまで落とし込んでイメージできる状態にしておきます。
専任担当者が中心となり、問題と要望の優先度を精査していきましょう。
課題の解決を支援する機能を持ったCRMを選定します。
営業支援に特化したものや、マーケティング施策のためのものなど、CRMツールにはさまざまな機能があります。
しかし、すべての機能が必要であるとは限らないため、優先する機能を明確にすることが大切です。
また、既存のツールとの連携がスムーズにできるかどうかも非常に重要な確認ポイントです。
複数のCRMを候補として絞り込み、それぞれの特徴や自社での使いやすさなどを比較検討して選びましょう。
CRMツールの選び方やおすすめについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になさってください。
CRMに移行する前に、既存の顧客データや営業データを整理して、一貫性のあるフォーマットに統一します。
CRMはデータの一元管理を目的としたものなので、導入するとどの部署やどの担当者が入力をしたとしても、データの重複が起こらないよう管理してくれます。
しかし、導入前の段階で管理すべきデータが重複していたり、不正確なデータが混在していると、CRMの導入後にも混乱が続いてしまうのです。
データが不正確なままでは、どんなに機能の高いCRMであっても、効果的に使うことはできないため、データの重複や古い情報を整理し、移行作業がスムーズに行えるように準備します。
【不正確なデータのよくある例】
選定したCRMの無料トライアルなどを用いて、テスト運用を行います。
部門や業務を決めた限定的な運用でスタートし、段階的に範囲を広げていくのが成功のコツです。
この試用の段階で、問題点や使いにくさなどを早期に発見するため、実際に使ってみた感触を現場の従業員にヒアリングして確認します。
CRMを本格的に導入し、必要に応じて会社のビジネスプロセスに合わせたカスタマイズを行います。
カスタマイズできるかどうか、またその範囲は製品によりますが、おおよそ以下の項目で、自社の業務フローに沿って従来通りの業務をより早くスムーズに行えるように、カスタマイズを行うことが一般的です。
カスタマイズをする際は、作り込みすぎず、シンプルに始めることが大切です。
ツールの使い方やプロセスがきちんと定着するまでは、サポートを継続して利用しましょう。
CRMを導入したら、導入前に掲げたKPIに基づいて効果をモニタリングし、必要な改善を行います。
CRMは一度導入したらそれきりのものではなく、定期的に改善していくものです。
現場の従業員からのフィードバックを定期的に受け取り、新しい機能や使い方の改善を継続的に進め、常に最適な形で運用することで、最大限にその効果を発揮することができます。
成長し続ける企業に伴走するHubSpot
HubSpotのCRMは、企業の成長に合わせて柔軟にスケールアップすることができ、成長を目指す企業にとって長期的な導入メリットの望める理想的なツールです。
◾️無料の基本プラン
無料でスタートできるため、初期コストを抑えながら段階的に機能を拡張していくことができます。 初期投資が少ないことは、リスクを抑えた導入を可能にします。 もちろん無料であっても基本的な顧客管理の機能を使うことができるので、コストパフォーマンスは無限大と言えます。
◾️シンプルで使いやすいインターフェース
複雑な設定や専門知識を必要としない、直感的に利用できる仕様なので、現場の従業員がすぐに使い始めることができます。 導入後のトレーニングにかかる時間とコストが最小限に抑えられるから、早期に効果を実感できます。
◾️スケーラブルなプラットフォーム
企業の成長に合わせて柔軟にスケールアップすることができるため、スモールビジネスから中堅、大企業に至るまで、あらゆる規模のビジネスに適したプラットフォームを提供します。
また、CRMを軸としてマーケティングやカスタマー支援のプラットフォームもあるため、必要に応じて有料プランに移行したり、機能の追加や拡張をしたりすることもできるのです。
企業が成長してもシステムの変更や乗り換えが不要なため、長期的な導入効果の高いCRMと言えます。
決済情報不要の無料アカウントの作成ですぐに使い始めることができるから、小さく初めて大きく育てたい起業家の方にもおすすめです。
CRMの導入は、成長を望むすべての企業にとって不可欠です。
CRMは単なるツールではなく、企業が顧客中心のビジネスモデルを実現し、競争優位性を高めるための戦略的なパートナーであると言えます。
その導入効果を最大限に引き出すため、導入前にビジネスプロセスの見直しやデータ整理などの準備を行うことで、効果を最大限に引き出しましょう。
HubSpotのCRMは、顧客との関係構築から売上向上までをシームレスに支援する包括的なプラットフォームです。使いやすいインターフェースで全部門の連携を強化し、データに基づいた意思決定を促進。チーム全体の生産性を高めながら、ビジネスの成長を加速させます。部門を超えた協力体制の構築に最適なツールを、無料からご利用いただけます。
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