ここで、もうひとつ混乱の原因となりやすいポイントについて、触れておきます。
「CRMって、どういう種別を指している?概念のこと?マーケティング手法のこと?ツールのこと?システムのこと?」 ……という疑問です。
結論からいうと、以下のとおりです。
- 「CRM」の語句は、概念や手法を指すこともあれば、ツールやシステムを指すこともある。
- 近年では、ツールやシステムを指す語句として使われるケースが増えている。
1990年代にCRMという用語が広く使われ始めたときには、マーケティング手法や概念を指していました。当時は、その考え方自体が新しかったためです。
CRMのために開発されたITシステムは、『CRMシステム』のように呼称されることが多かったのです。
しかしながら、2020年代の現在では、概念としてのCRMが定着するのと並行して、『顧客関係をマネジメントするツール(もしくはシステム)』という意味で使用されるケースが多くなりました。
CRMよりも少し遅れて、「MA(マーケティングオートメーション)」や「SFA(営業支援システム)」の用語が広まったことも関係しています。
「MA・SFA・CRM」が、並列して3つのシステムとして語られることが多くなり、その文脈では、CRMは手法ではなくシステムを指しています。
※MA・SFAについては、後ほど詳しく触れます。