CMS(コンテンツマネジメントシステム)とは、Webサイトの構築に必要なデザインやプラグイン、テキスト、画像といったコンテンツを包括的に管理できるシステムのことです。
CMSには無料で利用できるものがあり、コストをかけずにデザイン性や機能性に優れたWebサイトを制作できます。
本記事では、無料で使用できるCMSのおすすめ10選をオープンソース型とクラウド型に分けて紹介します。選び方のポイントや無料のCMSを使用する際の注意点も解説しますので、ぜひご覧ください。
無料CMSには、主にオープンソース型とクラウド型の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
オープンソース型とは、ソフトウェアの設計図を意味する「ソースコード」を一般公開し、ユーザーが自由に利用・改良ができるタイプのCMSのことです。
オープンソース型CMSを活用するメリットは、テンプレートやプラグインが豊富にあるため、ユーザーが思い描くサイトを制作しやすい点です。一方で、基本的に自社でセキュリティ対策を行わなければならないため、対応が難しい場合は、専門知識を持った外部の企業へ依頼が必要です。
クラウド型は、インターネットを経由してアクセスするタイプのCMSです。クラウド型CMSにアカウントを登録するだけで簡単に利用を開始できます。
ベンダーが開発したシステムを提供するため初期費用を抑えられるのが大きなメリットで、セキュリティ対策やシステムのアップデートもベンダーが担います。一方で、オープンソース型のようなカスタマイズが難しいのが、クラウド型のデメリットといえます。
ここでは、無料CMSを選ぶ際のポイントを8つ紹介します。
CMSを使用したコンテンツの制作や更新作業に手間取ってしまうと、作業効率が悪くなります。特に、海外製のCMSは、操作画面が英語表記になっていることがあるため注意が必要です。
導入前に、管理画面のわかりやすさや直感的な操作が可能かどうかといったチェックを行いましょう。
シェア率が高いCMSは、それだけ多くの人から評価されているということです。
操作方法やトラブルの解決方法といった情報が入手しやすい点も、シェア率が高いCMSを選ぶメリットといえます。
2025年3月時点で、シェア率が最も高いCMSはWordPressであり、世界のシェア率62.1%、日本のシェア率83.3%の数字を誇っています。ただし、WordPressは脆弱性が指摘されているため、使用にあたっては十分なセキュリティ対策が必要です。
シェア率の高さも参考にしながら、それぞれのCMSの特徴をしっかりと見極めましょう。
一般的に、Webページを制作するには、「HTML」と呼ばれるプログラミング言語やWebデザインの知識が必要です。
その点、テンプレートは、あらかじめ必要な項目やデザインがセットされているため、テキストや画像を当てはめていくだけでWebサイトが制作できます。
テンプレートの種類が豊富なCMSなら、自社のブランドイメージや目的に合ったものを見つけやすいでしょう。
CMSには、ECサイトやオウンドメディア、コーポレートサイトなどの用途に特化して制作されているものがあります。
ECサイト向けのCMSには、決済や商品登録などの機能が備わっています。また、情報発信を主な目的とするオウンドメディア向けのCMSは、レコメンド機能やSNSとの連携機能など、情報を拡散するための機能が充実しています。
導入の目的を明確にしたうえで、用途に合ったCMSを選びましょう。
CMSの導入後は、次のようにPDCAサイクルを回しながら、成果を高めていくことが重要です。
CMSにアクセス解析機能が備わっていると、分析がしやすくなります。
次のようなシステムやアプリと連携が行える無料CMSを導入すると、詳細なアクセス状況の分析や顧客情報との連携が可能です。
連携できるシステムやアプリはツールによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
CMSは、Webページを表示する仕組みの違いによって、「静的CMS」と「動的CMS」に分類できます。具体的には、ユーザーに表示するページを生成するタイミングが異なります。
静的CMSは、誰がアクセスしても同じページが表示されるのに対して、動的CMSはユーザーの行動によって表示するページを変えられるのが特徴です。
更新頻度が低く、常に同じ情報を掲載することを目的とするサイトには、静的CMSが向いています。一方で、更新頻度が高く、検索機能などを搭載させたい場合は、動的CMSが向いています。
自社のWebサイト運用の方向性に沿った仕組みのCMSを選択しましょう。
無料CMSは、サポートの有無やセキュリティ体制がツールによって大きく異なります。特にオープンソース型のCMSは、自社でセキュリティ対策が必要になるため、対応が難しい場合は外部への委託を検討しましょう。
Webサイト運用に関する知識を持った人が社内にいない場合も、自社で保守管理の必要がないクラウド型CMSを選ぶことをおすすめします。
ここでは、オープンソース型とクラウド型に分けて、おすすめの無料CMSを紹介します。
出典:WordPress
WordPressは、世界で最も利用されている無料CMSで、Webサイトの43.6%(2024年12月23日時点)がWordPressで制作されています。
【WordPressの特徴】
細かな機能設定などは専門知識が必要になります。しかし、WordPressを使いこなすことができれば、細かい部分までこだわったWebサイトを制作できるでしょう。
出典:Drupal
Drupalは、オープンソース型の無料CMSで、大規模サイトや公的機関サイトなどで利用されています。
【Drupalの特徴】
自動言語翻訳機能により、グローバルに情報を発信したいユーザーに特におすすめのCMSです。セキュリティ面にも強みがあり、政府や金融機関などにも利用されています。
出典:SOY CMS
SOY CMSは、どのような用途でも柔軟にWebサイト制作ができるオープンソース型CMSです。
【SOY CMSの特徴】
拡張性や効率性に優れているSOY CMSは、中規模~大規模サイトでもスムーズなWebサイトの運用が行えるでしょう。
出典:baserCMS
baserCMSは、操作性やカスタマイズ性などに優れた国産のオープンソースCMSです。
【baserCMSの特徴】
初心者でも、導入後すぐにWebサイト制作に取りかかることができるCMSです。
出典:EC-CUBE
EC-CUBEは、ECサイトの制作に特化した国産のオープンソース型CMSです。
350種類以上のプラグインや高いデザインカスタマイズ性に加えて、ECサイトに必要な機能がそろっています。
【EC-CUBEの特徴】
機能が充実しているため、自社の用途に合ったECサイトの制作がしやすいでしょう。
出典:osCommerce
osCommerceは、ドイツ発祥で世界規模のコミュニティで開発・提供されている、ECサイト制作に特化した無料CMSです。
【osCommerceの特徴】
カスタマイズの自由度が高いため、社内にITの専門知識を持った人材がいる場合は特におすすめのCMSです。
出典:microCMS
microCMSは、高いセキュリティ水準が魅力で、大手企業や金融機関でも導入されているCMSです。
【microCMSの特徴】
公開・停止の予約や、「キャンペーン期間のみ公開」などの設定に対応しています。また、コンテンツ公開時や更新時に、SlackやChatwork、メールといった連携ツールなどへの通知も可能です。
出典:ジンドゥー
ジンドゥー(Jimdo)は、初心者向けのクラウド型のCMSで、AIがWebサイト制作をサポートしてくれます。
【ジンドゥーの特徴】
ナビに従って質問に回答していくだけで、簡単にWebサイトを制作できます。
出典:Wix
Wixはプロのビジネスサイトから個人ブログまで、簡単にWebサイト制作ができるクラウド型のCMSです。
【Wixの特徴】
Wixの公式ブログでは、Wixの使い方が動画と文章で詳しく解説されているため、初心者でも本格的なWebサイトを制作できます。
出典:Content Hub
Content Hubは、HubSpotが提供しているCMSです。「誰でも簡単に」操作できることにこだわって設計されており、無料プランでも豊富な機能を利用できます。
【Content Hubの特徴】
Content Hubは、マーケティング機能が充実しているのが大きな特徴です。また、ほかのHubSpotのツールと連携することで、顧客のニーズに合わせたコンテンツのパーソナライズや作業の自動化にも対応できます。
無料CMSのなかでも、特にオープンソース型のCMSはセキュリティ上のリスクに注意しなければなりません。
次のような対策で、セキュリティレベルを高めましょう。
利用者が多い無料のツールは、脆弱性を突いたサイバー攻撃のターゲットにされやすくなります。セキュリティツールの導入は、無料CMSのセキュリティ対策の基本といえるでしょう。
例えば、多彩なサイバー攻撃からWebサイトを守るためには、アプリケーション保護を行うWAFの導入が効果的とされています。WAFには、不正なデータ取得や改ざん、個人情報漏洩につながるサイバー攻撃を防ぐ役割があります。
オープンソース型のCMSは、システムの設計図であるソースコードが公開されているため、悪用されやすいというデメリットがあります。悪意があるユーザーがソースコードの分析によって脆弱性を発見し、サイバー攻撃を仕掛けるという事態が実際に起きています。
CMSやテンプレート、プラグインなどは、脆弱性を改善するためのアップデートが随時行われているため、常に最新のバージョンを維持することが基本のセキュリティ対策です。
オープンソース型の無料CMSは、プラグインを追加することでさまざまなカスタマイズができます。数多くのプラグインが存在することは、ユーザーにとってメリットといえますが、同時にサイバー攻撃の入口が多くなるということでもあります。
プラグイン経由のサイバー攻撃のリスクを減らすため、使用頻度の低いプラグインや更新の止まっているプラグインを定期的に確認して削除しましょう。
無料CMSは、Webサイトの制作・運用を低コストで行えるのが大きな魅力です。
無料CMSのなかでも、WordPressをはじめとするオープンソース型のCMSはカスタマイズの自由度が高く、多くのユーザーが利用しています。しかし、セキュリティ上の懸念がある点には注意が必要です。自社で高度なセキュリティ対策が難しい場合は、クラウド型CMSの利用を検討しましょう。
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