この記事は10分で読めます
CMS(コンテンツマネジメントシステム)とCRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)は、表記が似ているため混同されることがありますが、目的や機能が大きく異なります。
一方で、連携させることでそれぞれの強みを活かし、ビジネスの成長につなげることが可能です。
CRMに蓄積された顧客情報と、CMSを通じて得られた顧客の行動データを連携することで、営業・マーケティング活動の精度が高まり、業務効率化や売上向上につなげやすくなります。
本記事では、CMSとCRMの違いや関係性、連携させるメリットを詳しく紹介します。CRMと連携しやすいCMSツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

CMSとCRMを連携することで、Webサイトで獲得した見込み客の情報を一元管理し、その後のマーケティングや営業活動に活用できるようになります。
例えば、資料請求や問い合わせを行った見込み客の情報を自動でCRMに登録し、メール配信や営業フォローにつなげることが可能です。また、顧客データをもとにコンテンツの改善やパーソナライズを行うことで、より効果的な顧客体験を提供できます。
まずはCMSとCRMそれぞれの役割を確認したうえで、両者を連携することで実現できることを見ていきましょう。
CMS(Content Management System:コンテンツマネジメントシステム)とは、Webサイトやブログなどのコンテンツを作成・管理するためのシステムです。
従来はWebページを更新するたびにHTMLやCSSなどの専門知識が必要でしたが、CMSを利用することで、専門的な知識がなくてもコンテンツの公開や更新を行えるようになります。複数人での運用もしやすく、情報発信のスピード向上や運用コストの削減につながる点が大きなメリットです。
また、CMSは単なるWebサイト制作ツールではなく、SEO対策やランディングページ作成、コンテンツマーケティングの基盤としても活用されています。企業が継続的に情報発信を行い、見込み客との接点を創出するための重要な役割を担っています。
CRM(Customer Relationship Management)は、日本語で「顧客関係管理」と訳されます。
企業が保有する見込み客や顧客の情報を一元管理し、顧客との関係を構築・維持・強化するための考え方、およびそれを支援する仕組みを指します。
CRMでは、問い合わせ履歴や商談履歴、メール配信への反応、購入履歴などの情報を蓄積し、顧客ごとに適切なコミュニケーションを実施します。顧客理解を深めることで、営業活動の効率化や顧客体験の向上、リピート率の向上などにつなげることが可能です。
また、CRMを実践するためのデジタルツールは「CRMツール」と呼ばれ、多くの企業で営業部門やマーケティング部門の基盤として活用されています。
CMSとCRMは役割の異なるシステムですが、連携することで顧客獲得から育成、商談化までのプロセスをスムーズにつなげることができます。
例えば、CMSで運営しているWebサイト上に問い合わせフォームや資料請求フォームを設置すると、そこで獲得した見込み客情報を自動的にCRMへ登録できます。手作業による入力が不要になるため、情報管理の効率化や入力ミスの防止につながります。
さらに、CRMに蓄積された顧客データを活用することで、閲覧履歴や興味関心に応じたコンテンツ配信やメールマーケティングを実施できます。
また、どのコンテンツから問い合わせが発生したのか、どのページを閲覧した見込み客が商談化しやすいのかといった分析も可能になります。こうしたデータを活用することで、コンテンツ改善やマーケティング施策の最適化を進められます。
近年は生成AIの普及によって、コンテンツ制作や顧客対応のあり方が大きく変化しています。AIを活用すれば、記事作成やメール文面の作成、コンテンツの要約などを効率化できるため、企業の情報発信量は今後さらに増加すると考えられます。
一方で、コンテンツを大量に作成するだけでは成果につながりません。AI検索やAEO(Answer Engine Optimization)が普及するなかでは、顧客のニーズや行動データを活用しながら、より関連性の高い情報を提供することが重要になります。
そこで重要になるのがCMSとCRMの連携です。CMSでコンテンツを管理し、CRMで蓄積した顧客データを活用することで、見込み客の興味関心に合わせたコンテンツ提供やパーソナライズされたコミュニケーションを実現できます。
さらに、AIを組み合わせることで、コンテンツ作成の効率化だけでなく、顧客データの分析や次に取るべきアクションの提案なども可能になります。これからのマーケティングでは、CMS・CRM・AIを連携させながら顧客体験を最適化していくことが重要になるでしょう。
HubSpotでは、AEO対策や生成AIによるコンテンツ作成支援などの機能を搭載した「Breeze」を提供しています。
また、HubSpotでは無料から使えるCMSやCRMを連携させることもでき、AI支援により途切れない顧客体験を実現することも可能です。
CMSとCRMを連携させる主なメリットは、次の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
CRMに蓄積されている購買履歴や問い合わせ履歴などの顧客に関する情報と、CMSを通じて得られるWebサイト上の行動データを連携すると、より深い顧客分析が可能になります。
例えば、購買に至ったユーザーがWebサイト上で辿った経路や、年齢や地域性の傾向といったパターンを把握できます。顧客の購買行動や属性を意識してコンテンツを制作することで、よりニーズに合った情報提供が可能になり、満足度が高まるでしょう。興味関心があることや、会員・非会員の区分など、CRMに登録されている情報に合わせて表示させるコンテンツを変えることも可能です。
また、「特定の商品ページを複数回閲覧して問い合わせに至った」など、CRMとCMSを通じて得た見込み客に関する情報を営業チームに引き継ぐ活用方法もあります。営業部門のメンバーは、見込み客の状況やニーズを的確に把握できるようになるため、適切なアプローチにつながります。
CRMとCMSを連携せず、それぞれ独立したツールとして利用していると、同じ情報を二回入力する手間がかかります。
CRMとCMSを連携させることで、データが自動で反映されるようになるため、業務効率化につながります。
CMSで収集されたページ閲覧数やダウンロード履歴、購入履歴などの行動データをCRMに蓄積することで、顧客行動の傾向が分析可能です。
例えば、どのような行動をとったユーザーが問い合わせにつながりやすかったのかを把握できます。また、Webサイトでどれだけの見込み客が創出され、商談に至ったかといった情報もリアルタイムで把握できます。
また、CMSとCRMを連携させておくと、Webサイトの分析やレポート作成をCRM上で行うことができます。レポートの作成業務の効率化につながるだけでなく、PDCAサイクルをより多く回せるようになるため、効果的な改善につながります。
作成したレポートは、Webサイトの運用目標に対する進捗管理やコンテンツの改善などに活用可能です。また、Webサイトの運用で得られた効果を、客観的な数値でほかのチャネルと比較しやすくなる点もメリットです。
CMSとCRMを連携することで、顧客や見込み客の属性、行動履歴に応じた情報提供が可能になります。
例えば、CRMに登録されている業種や役職、過去の問い合わせ内容などの情報を活用し、それぞれのニーズに合ったコンテンツを表示できます。また、過去にダウンロードした資料や閲覧したページの履歴をもとに、関連性の高いコンテンツや製品情報を案内することも可能です。
顧客にとって必要な情報を適切なタイミングで提供できるようになるため、コンテンツへの関心やエンゲージメントの向上が期待できます。結果として、問い合わせや資料請求などのコンバージョン率向上にもつながるでしょう。
CMSとCRMを連携することで、リードスコアリングの精度向上にもつながります。
リードスコアリングとは、見込み客の属性や行動履歴に応じて点数を付与し、購買意欲や商談化の可能性を評価する手法です。CRMに登録された企業規模や業種などの属性情報に加え、CMSで取得したページ閲覧履歴や資料ダウンロード履歴などの行動データを組み合わせることで、より精度の高い評価が可能になります。
例えば、料金ページや導入事例ページを複数回閲覧した見込み客に高いスコアを付与することで、購買意欲の高いリードを早期に発見できます。営業担当者は優先的にアプローチすべき見込み客を把握しやすくなり、効率的な営業活動につながります。
CMSとCRMを連携させるには、独立したCRMとCMSを導入して連携させる方法と、CMSとCRMが一体化したシステムを導入する方法があります。それぞれの特徴や方法を詳しく解説します。
既存のCMSとCRMを連携し、活用する方法です。特に、多くの企業で利用されているWordPressはさまざまなCRMとの連携に対応しており、現在のWebサイト環境を活かしながら顧客管理の仕組みを強化できます。
例えば、フォーム送信や資料ダウンロードによって取得した見込み客情報をCRMへ自動登録し、その後のメール配信や営業活動に活用することが可能です。既存システムを大きく変更する必要がないため、段階的にマーケティング基盤を整備したい企業にも適しています。
また、HubSpotではWordPress向けのプラグインを提供しており、フォーム作成や顧客情報の同期、Webサイト上の行動データの取得などを比較的容易に実現できます。
CRMのなかには、顧客情報をコンテンツ制作に活用する目的で、CMS機能が搭載されているものもあります。
CRMとCMSが一体化したシステムを導入すると、連携作業を行う必要がなく、導入や保守管理のための費用と手間も1つのシステム分だけで済みます。
HubSpotも、CRMとCMSが一体化したプラットフォームです。CRMを基盤に、ユーザー一人ひとりにパーソナライズされたコンテンツを作成でき、リード創出から顧客化までの一連のプロセスをスムーズに管理できます。
ここでは、CRMと連携しやすいCMSツールを5つ紹介します。

出典:WordPress
WordPressは、ソースコードが公開されている「オープンソース型」と呼ばれる無料のCMSです。WordPressを使って構築されているWebサイトは数多く存在し、W3Techで公開されているデータによると、全世界の約42%のWebサイトでWordPressが採用されています。
WordPressで構築したWebサイトにCRMプラグインをインストールすると、CRMの機能を簡単に追加できます。連携方法はプラグインによって異なりますが、例えばHubSpotのWordPressプラグインを利用する場合、フォームからの問い合わせ情報がCRMに自動登録され、訪問者の行動データのトラッキングも可能になります。

出典:Wix
Wixは、ノーコードでWebサイトやECサイトが構築できるCMSです。
WixのWebサイトにCRM機能を追加するには、Wix純正のCRMツールを使用します。簡単な作業で連携が可能で、顧客とのコミュニケーションを一本化することでシンプルなワークフローを形成できます。
よく使用するアクションのオートメーション化やライブチャット、フォームなどの機能によって、業務効率化と見込み客の効果的な創出に貢献します。

出典:Shopify
定額課金制のECプラットフォームとして知名度の高いShopifyは、マーケットプレイスから入手できる外部のCRMソフトウェアと簡単に連携できます。
Shopify アプリストアでCRM連携を検索するか、次のアプリの中から選んでみてください。

出典:Joomla
Joomlaはオープンソース型のCMSで、拡張機能による幅広いカスタマイズが可能です。Joomlaと連携可能なCRMで評価の高いものを紹介します。

出典:Drupal
Drupalは、オープンソース型のCMSです。Drupalに追加できるおすすめのCRMを紹介します。
ここでは、CRMとCMSが一体化したツールを紹介します。

出典:Content Hub
HubSpotが提供しているContent Hubは、CRMデータを基盤にコンテンツの制作・配信・分析をワンストップで実現するマーケティングソフトウェアです。
コンテンツ制作においては、BreezeのAI機能により、ブログ記事やランディングページの草稿生成が可能なだけでなく、コンテンツリミックス機能によって1つのコンテンツをSNS投稿・メール・ポッドキャスト・動画クリップなど複数チャネル向けに自動変換できます。チャネルごとにゼロから作り直す手間を大幅に削減できる点が特徴です。
HubSpotの製品はCRMが基盤となっているため、顧客情報の分析結果をコンテンツ設計に直接反映でき、Webサイト上のすべてのやり取りはCRMに自動保存されます。これにより、「どのコンテンツがどの顧客の行動を促したか」をレポートで即座に把握できます。
WordPressやShopify、Drupalなど主要なCMSとのプラグイン・API連携にも対応しており、既存のCMS環境を維持しながらHubSpotのCRM機能を活用することも可能です。

Salesforce CMSは、コンテンツを制作し、Salesforceに構築されたEコマースやマーケティングメール、カスタマーコミュニティーといったチャネルに拡張できるツールです。Experience Cloud ユーザーライセンスを保有したユーザーが使用できます。
Salesforce CMSのワークスペースでは、コンテンツの制作者や公開範囲などを細かく設定可能です。

出典:Adobe Experience Manager Sites
Adobe Experience Manager Sitesは、コンテンツ制作やパフォーマンス分析が可能なCMSです。サイトの読み込み時間や応答性、検索ランキングといった細かな分析に対応できるのが大きな特徴で、SEOの強化につながります。
Adobe Experience Manager Sitesは、Adobe Experience Cloud製品の1つで、AIを活用したコンテンツの制作・配信や顧客情報の一元管理、マーケティングキャンペーンの分析などが可能な統合型のマーケティングソフトウェアです。Adobe Experience Cloudは、世界的に知名度のある大手企業にも多く採用されています。
CMS・CRMの連携についてよくある質問をまとめましたので、連携についてよく知りたい場合はぜひ参考にしてください。
CMSはWebサイトやブログなどのコンテンツを作成・管理するためのシステムです。一方、CRMは見込み客や顧客の情報を管理し、営業やマーケティング活動に活用するための仕組みです。CMSは情報発信、CRMは顧客管理を主な役割としています。
Webサイトで獲得した問い合わせや資料請求の情報をCRMへ自動登録できるようになります。また、顧客の属性情報とWebサイト上の行動データを組み合わせることで、顧客分析や営業活動、マーケティング施策の精度向上につながります。
営業・マーケティング活動の精度向上、データ入力業務の効率化、Webサイト分析の高度化などが主なメリットです。さらに、顧客ごとに最適な情報を提供したり、リードスコアリングの精度を高めたりすることもできます。
はい。WordPressは多くのCRMと連携可能で、フォーム送信や資料ダウンロードによって取得した見込み客情報をCRMへ自動登録できます。HubSpotのWordPressプラグインを利用すれば、顧客情報の同期や行動データの取得も比較的容易に行えます。
生成AIによってコンテンツ制作が効率化される一方で、成果を上げるためには顧客データを活用した最適な情報提供が重要になっています。CMSとCRMを連携することで、顧客の興味関心や行動履歴に応じたコンテンツ配信やパーソナライズされた顧客体験を実現しやすくなります。
CMSとCRMは役割の異なるシステムですが、連携することで見込み客の獲得から育成、商談化までのプロセスを効率化できることをご紹介しました。CMSとCRMを連携する主なメリットは以下のとおりです。
CMSとCRMの連携方法には、主に以下の2つがあります。
CMSとCRMの連携は、コンテンツ戦略と顧客管理を一体化し、データに基づいたマーケティング活動を継続的に改善するための基盤となります。
HubSpotは、CRMを基盤としたAI搭載型のカスタマープラットフォームです。Content Hubと組み合わせることで、コンテンツ制作からリード管理、営業・カスタマーサービスまでを一元管理できる環境を構築できます。無料プランから利用を開始し、自社のマーケティング基盤として段階的に活用範囲を広げることも可能です。
HubSpotの無料のCMS(コンテンツ マネジメント システム)ソフトウェアを使用して自社のウェブサイトを構築し、トラフィックの促進、リードの創出、収益の拡大に役立てましょう。
この記事をシェアする
HubSpot日本語ブログでは、世界中のHubSpotの知見を活かし、日本のビジネスパーソンの課題解決に繋がるような情報を提供しています。詳しくはHubSpotブログをご覧ください。