多くの企業が、Webサイトの制作・運用にCMSを導入しています。CMS(コンテンツ管理システム)とは、Webサイトの制作や更新を直観的な操作のみで行えるシステムです。
一般的には、CMSは、オープンソース型・クラウド型・オンプレミス型などに種類が分けられます。一方で、料金体系やコンテンツの種類による分類も可能です。また、CMSは種類ごとに特徴や強みが異なるため、企業によって向き・不向きが生じます。そのため、それぞれの特徴を理解したうえで、自社に最適なCMSを選ぶことが重要です。
本記事では、ソースコードの公開の有無やインフラなどの5つの視点でCMSを分類し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
CMSは次の5つの視点で分類できます。
ここからは、各CMSの特徴とメリット・デメリットを解説します。
CMSはソースコードの公開有無によって次の2つの種類に分かれます。
オープンソース型CMSとは、ソースコード(プログラミング言語で記述された文字列)が無償で一般公開され、商用・非商用を問わず誰でも自由に利用・修正・再配布できるようにしたCMSのことです。
多くのオープンソース型ソフトウェアが低コストで利用できるように、オープンソース型CMSの多くも、無料で利用可能です(サーバー、ドメイン代は別途必要)。
また、利用者数が多いため、オープンソースCMS向けに開発されたプラグインも豊富に用意されています。プラグインとは、機能を拡張できるプログラムのことで、CMSにインストールすればプログラミング知識がない方も容易に活用できます。特に、WordPressはあらゆるジャンルのプラグインが網羅されており、Webサイト構築に関する幅広いニーズに応えられるのがメリットです。
一方で、サポートが提供されていない、脆弱性を突かれやすいなどのデメリットがあります。
【オープンソース型CMSの代表的なサービス】
独自開発型CMSは、Web制作会社などのベンダーがユーザーとなる企業ごとにカスタマイズして開発するCMSです。ほとんどのサービスが有料で提供されています。
オープンソース型CMSと違い、自社の課題やCMS運用の目的などをベンダーと相談しつつ、独自のシステムを構築します。
独自開発CMSは、自社独自の機能を搭載したり厳格なセキュリティポリシーを柔軟にシステムへと反映したりでき、カスタマイズ性に優れるのが利点です。一方で、オーダーメイドなので費用が高額になりやすく、開発が必要になるため導入までに時間もかかる点がデメリットです。
【独自開発型CMSの代表的なサービス】
CMSは、インフラの観点からも分類できます。具体的には、サーバーを用意・管理する主体がベンダー(クラウド事業者)か、自社かによって、次の2つに分けられます。
クラウド型CMSは、ベンダー(クラウド事業者)がCMSサーバーを用意・管理してクラウド環境下で提供されるCMSです。自社でサーバーを導入したりパソコン端末にCMSをインストールしたりする必要はなく、インターネット環境とWebブラウザがあればサービスを利用できます。
多くのクラウド型CMSはパッケージとして提供されており、セキュリティ対策を含めた各種アップデートはベンダー側が行ってくれます。さらに、CMSに用意されたテンプレートを組み合わせるだけで、一定の品質のWebサイトを構築できるのも利点です。
ただし、あらかじめ用意されたパッケージの範囲内でのカスタマイズが前提となるため、細かい表示変更などに対応できないケースも多くあることがデメリットです。また、ベンダーが提供するサーバーを利用するため、セキュリティ対策がベンダー側の環境に依存しやすい傾向があります。
【クラウド型CMSの代表的なサービス】
オンプレミス型CMSは、自社でCMSサーバーを用意・管理することを前提に提供されるCMSです。
一般的には、ベンダーが専用チームを設けて、導入サポートを行ってくれ、導入完了後も保守チームが運営サポートを行ってくれる場合がほとんどです。
また、自社のサーバーやCMSの構築時に、セキュリティを含めたシステム設計が行われるため、要件を柔軟に反映できます。
一方で、自社の施設内にサーバーを設置・運営する必要があるため、構築費や工期がかかる点がデメリットです。
【オンプレミス型CMSの代表的なサービス】
CMSは、料金体系によって次の2つの種類に分類できます。
CMSの多くは、契約時に有料プランを選択するか、ライセンス費用を支払ってサービスを利用します。一方で、無料で利用できるCMSもあります。
無料CMSの提供形態は複数あり、基本料金は無料でオプションやプラグインの導入に費用がかかるタイプ、有料CMSであっても機能が制限された無料プランが用意されているタイプなどがあります。
このように追加料金が発生する場合であっても、まずは無料で基本的なサービスを試用可能です。一方で、有料CMSに比べて搭載されている機能が少なかったり制限されていたりする製品が多い点には注意が必要です。
【代表的な無料CMS】
有料CMSとは、サービスを利用する際に料金が発生するCMSです。料金体系はベンダーや製品によって異なります。
オンプレミス型の有料CMSを導入する場合は、初期費用やライセンス料が発生するのが一般的です。一方で、クラウド型は初期費用が無料であることが多く、月額利用料やオプション代などの運用コストが発生します。
有料CMSの特徴は、機能が豊富である点です。またサーバーやデータセンターの堅牢度、セキュリティ対策の充実度が高いため、より安心してWebサイトを運営できます。無料トライアルがある場合は、期間中にシステムの操作性や機能性を検証すると良いでしょう。
【代表的な有料CMS】
CMSはコンテンツの種類によっても次の2つに分類できます。
動的CMSとは、ユーザーがWebサイトにアクセスするたびに、データベースに蓄積されたテキストや画像、動画などのコンテンツを呼び出してHTMLページを生成する仕組みが備わったCMSです。
動的CMSのメリットは、検索クエリに応じて柔軟にコンテンツを出し分けられることです。仮に、100人のユーザーがWebサイトにアクセスした場合、異なる100パターンのページを生成できます。
一方で、特性上、ページ表示速度が低下しやすいデメリットがあります。アクセスのたびにコンテンツのリクエスト、選択、表示といったプロセスが発生し、ページが読み込まれるまでに時間がかかるためです。
また、Webサイトへのアクセスが集中すると、負荷の増大によってサーバーダウンに陥るリスクにも注意が必要です。
【動的CMSの代表的なサービス】
静的CMSとは、ユーザーがWebサイトにアクセスした際に、用意されたHTMLページを表示する仕組みになっているCMSのことです。
あらかじめ作成されたHTMLページを表示するだけなので、より速くWebサイトの画面を表示できるのが利点です。仮に、Webサイトにアクセスが集中した場合でもサーバーへの負荷は軽く済むため、表示速度の安定感を損なうことがありません。
ただし、ユーザーの目的に応じてコンテンツを出し分けできない点がデメリットです。検索クエリによってWebサイトにアクセスする目的が明確な場合は、動的CMSを活用するほうが良いでしょう。
また、複数のHTMLページを管理する必要があるため、データの上書きや削除などのヒューマンエラーが起こる可能性があります。
【静的CMSの代表的なサービス】
CMSは、フロントエンドの独立性によっても分類可能です。
従来型CMSは、フロントエンドとバックエンドが統合されているCMSです。後述するヘッドレスCMSのように、フロントエンドとバックエンドが独立したタイプは比較的新しく、従来は両者が統合された製品が主流でした。
CMSにおけるフロントエンドとは、コンテンツのビュワー(Webページの表示を確認するための機能)のことです。一方、バックエンドはコンテンツ入稿用のシステムを指します。フロントエンド側でテンプレートの作成・改修や言語の調整、バックエンド側でコンテンツやテンプレートの管理などを行います。
従来型CMSには、フロントエンドとバックエンドが搭載されているため、Webサイトの構築に際してAPIやフロントエンド開発の高度な知識が求められません。また、フロントエンド側・バックエンド側で同時に開発を進められるのも利点です。
ただし、システムを稼働するにはフロントエンドとバックエンドの整合性を保つ必要があるため、一方を修正した場合は互いのプログラムをチェック・調整する必要があります。また、制約が厳しく、プログラムを大幅に変更できない点もデメリットです。
【従来型CMSの代表的なサービス】
ヘッドレスCMSは従来型CMSとは異なり、システム上にはバックエンドのみが存在するCMSです。APIを使ってシステム外に独自のフロントエンドを構築する仕組みです。
フロントエンドとバックエンドが独立しており、システム上で両者の整合性を保つ必要がないため、CMSのUIやUXを自由に設計できます。また、パソコンやスマートフォンなどのデバイスごとにフロントエンドを変更できるので、マルチデバイスにも対応しやすい点が利点です。
ただし、ヘッドレスCMSの導入には、フロントエンド開発やバックエンド開発、APIに関する専門的な知識が必要です。エンジニアの雇用や専門会社への外注を行う場合は、費用がかかる可能性があります。
【ヘッドレスCMSの代表的なサービス】
ここまで解説したように、CMSにはその種類ごとにメリット・デメリットがあり、自社の目的や予算などによって最適解が異なります。
まずは目的や予算、サイト規模、携わる人数、追加予定のコンテンツ、更新頻度、サポートの必要性など、自社の状況と要望を洗い出したうえで、運用コンセプトに沿ったCMSの種類とサービスを選定するようにしましょう。
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