LPO(Landing Page Optimization)は、ランディングページを改善することを目的とした施策の総称です。LPOの実施によって、広告の成果向上が期待できます。
効果的にLPOを実施するためには、LPOが必要なタイミングを見極めて、成果への影響が大きいパートから改善する必要があります。本記事では、LPOの具体的な手順や必要なタイミング、LPOを成功させるためのポイントなどをわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
LPOとはランディングページ最適化(Landing Page Optimization)の略で、ページ内の各要素を改善し、コンバージョン率(CVR)を最大化させる手法です。
ランディングページ(LP)には、「ユーザーが最初に着地(landing)したページ」と「Web広告の受け皿となるページ」の2つの意味があります。Webマーケティングにおいては「Web広告の受け皿となるページ」を意味することがほとんどで、LPOの対象となるのもWeb広告の受け皿となるLPです。
LP内の画像やテキスト、デザインを改善することで、訪問者にとって価値のあるコンテンツとなり、サービスの購入や資料請求といったアクションが促進されます。その結果、企業側にも問い合わせ件数や売上の増加といったメリットが生まれます。
EFO(Entry Form Optimization)とは、申し込みフォームや問い合わせフォームといった入力フォームを最適化する施策のことです。LPOがLP全体を改善する手法であるのに対して、EFOはエントリーフォームの最適化に注力する施策です。
LPのコンバージョン率が低い場合はLPOを優先し、フォームの途中で離脱が多く発生している場合はEFOを優先することで、効果的な改善を見込むことができます。
SEO(Search Engine Optimization)とは、自社のWebサイトやWebページを検索エンジンで上位表示させるための施策のことです。SEOを実施したページが上位表示されることでWebサイトへの流入が増え、認知拡大やコンバージョンの増加につながります。
SEOは検索エンジンへのアプローチによって新たな訪問者を呼び込むための施策であり、LPOはLPの訪問者をコンバージョンにつなげるための施策である点が大きな違いです。
LPOは、広告の成果を最大化するために実施します。コンバージョン率が高まると、流入数に変化がなくても広告の成果が向上するため、費用対効果を高めることが可能です。
LPの訪問者は、約2.6秒の間にWebページの良し悪しを判断しているといわれているため、ページの最上部に設置する「ファーストビュー」が特に重要です。ファーストビューで商品・サービスの魅力や訪問者にとってのベネフィットを簡潔に伝えられると、その先のコンテンツを読んでもらえる可能性が高まるでしょう。LPOで途中離脱を防ぐことでコンバージョン率を高める効果も期待できます。
必要な情報をわかりやすく伝えられるように、訪問者の視点でデザインや画像、テキストを改善することが広告の成果向上につながります。
LPOは、次のような手順で実施しましょう。
各ステップの内容をポイントもあわせて詳しく紹介します。
まずは、LPOの目標を設定します。コンバージョン数(CV数)やコンバージョン率(CVR)、ページビュー(PV)など、計測可能な数値をKPI(重要業績評価指標)として設定しましょう。「訪問者数を30%増やす」「コンバージョン数を0.2%改善させる」のように、具体的な数値に落とし込むのがポイントです。
KPIを設定したら、アクセス解析により、現状の具体的な課題を把握します。アクセス解析には、Google アナリティクス(GA4)やヒートマップツールを活用すると良いでしょう。アクセス解析を行う際に注目すべきポイントは、次の通りです。
アクセス解析によって得られた課題を一覧にして、次のステップへ進みます。
このステップでは、LPの課題を改善するための仮説を立案します。いきなり改善を行うのではなく、「なぜそのような結果になったか」を考えて検証を重ねることで、本質的な改善が可能になります。
例えば、「ファーストビューでの離脱率が高い」という課題があった場合、広告とLPのデザインや世界観が統一されていないことが原因のひとつとして考えられます。もしくは、ファーストビューで訪問者のベネフィットを明確に伝えきれていない可能性もあるでしょう。このような仮説があってはじめて具体的な改善につながります。
LPのテストは、デザインやコピー、構成などが異なるクリエイティブを複数用意し、どれが最も効果的なのかを検証する方法が一般的です。次のいずれかの手法を採用することが多いでしょう。
LPを公開後、一定期間が経過したら効果検証を行います。KPIとして設定した数値を確認することで、客観的な評価が可能です。数値の確認と同時に、次の施策につながる仮説も立案しましょう。
効果検証をもとにLPを改善し、仮説を立案して再び改善するPDCAサイクルを回します。徐々に改善を重ねることでLPが最適化されていくでしょう。蓄積したノウハウを次のLPの作成に活かすことで、成果の上がりやすいクリエイティブを効率良く生み出せるようになります。
LPOは、次のようなタイミングで実施すると効果的です。
それぞれ詳細を見ていきましょう。
そもそもLPは問い合わせや購入を促すことが目的のため、コンバージョン率が低い場合はLPOの実施が必要です。ただし、目標の設定が高すぎる可能性もあります。一般的な目安の数値と比べ、本当に低いのかを改めて確認してみましょう。
コンバージョン率は、「コンバージョン数 ÷ 広告流入数 × 100(%)」で算出します。リスティング広告運用ツールを提供しているWordstream社の調査では、LPのコンバージョン率の平均値は2.35%となっています。コンバージョン率は業界によって差があるため、目安を把握しておくと良いでしょう。
参考:The Unbounce Conversion Benchmark Report(英語)
LP全体のコンバージョン率(CVR)が低い場合に考えられる主な原因は、次の通りです。
魅力的なLPを作成しても、入力フォームが使いづらいと訪問者が離脱してしまいます。入力フォームが原因と考えられる場合は、EFO(入力フォームの最適化)を実施してユーザビリティの高い入力フォームになるよう改善しましょう。
CTAのクリック率とLPのコンバージョン率の乖離が大きい場合は、コンバージョンに至るまでの間に離脱が起こっている可能性があります。必要以上にページをスクロールしなければならない冗長な説明や導線のわかりづらさなどが離脱の原因となるため、読者が求める情報を過不足なくまとめましょう。LPの基本的な構造を理解しておくと、ストーリー性のあるLPを作成できます。
CTAのクリック率を上げるだけで、LPのコンバージョン率が大きく改善することもあります。そのため、クリック率が低い場合は優先的に改善を行いましょう。
主な原因は、以下が考えられます。
CTAボタンが目立たないと、訪問者に発見してもらうことが難しくなります。ボタンの色や大きさ、フォント、言い回しなどを変更して、A/Bテストを実施しましょう。ページ内のCTA数が少ないことや、適切な箇所に設置されていないことも、クリック率の低下につながります。ページの中盤や下部にしかCTAを設置していない場合は、ファーストビュー直下や商品・サービスのメリットを訴求した直後などにも追加すると効果的です。
また、CTAのハードルが高いことも考えられます。「お申し込み」や「カートに入れる」のように、CTAは最終的な購入・契約に近くなるほど訪問者にとってはハードルが高くなります。CTAのクリック率が低い場合は、「無料ガイドブックをダウンロードする」や「資料請求」など、より気軽にアクションできるCTAに変更することでクリックしてもらえる可能性が高まります。
購入や契約につながるCTAには、マイクロコピーの活用がおすすめです。
マイクロコピーとは、CTAを補足するようなテキストのことです。CTAボタンの直下に「60秒で簡単登録」「いつでも解約可能」といったマイクロコピーを追加することで訪問者の不安が払しょくされ、コンバージョンを促進できます。
LPの直帰率は、一般的に70~90%が平均値とされています。そのうち、ファーストビューの直帰率は70%前後が目安になるため、70%を超えている場合は改善の余地があると判断して分析を行いましょう。
ファーストビューの直帰率が高い場合は、次のような原因が考えられます。
広告に興味を持ってリンクやボタンをクリックしたものの、その先に広告と統一感がないページが表示されると、訪問者は「誤ったページに来てしまった」と考える可能性があります。広告のクリエイティブのキャッチコピーや画像、デザインを分析し、LPと齟齬のありそうな要素を改善しましょう。
また、ページの表示速度が遅いと訪問者にとってストレスとなり、表示が完了する前に離脱されてしまう可能性があります。この場合は、画像の容量を圧縮したり、遅延読み込みの機能を入れたりする対策が必要です。
他にも、魅力的なコピーが無く興味を引かない、デザインやコピーが信頼性に欠ける、ページの表示が崩れていて見づらい、といった原因もあるでしょう。
ページ内の滞在時間が短い場合は、次のような原因がないかどうか探ってみましょう。
LPの訪問者は、何かしらの目的があって広告のリンクをクリックしています。LPで目的の情報が見つけられないと、滞在時間が短くなるため注意しましょう。滞在時間が短い場合は、ヒートマップを活用したコンテンツの見直しが効果的です。
ヒートマップでは、LP内で訪問者によく閲覧されている箇所と、反対に閲覧されていない箇所が視覚的に把握できます。よく閲覧されている箇所は訪問者が求めている情報と考えられるため、その部分の画像をより印象的なものに変更したり、有益な情報を追加したりする改善を実施します。
コンテンツの情報量の不足も滞在時間が短くなる原因になるため、動画や導入事例などのコンテンツを追加してみましょう。他社のLPを要素分解し、自社で活用できるノウハウをリサーチする方法もおすすめです。
CPA(顧客獲得単価)とは、1人(または1社)の顧客を創出するためにかかった広告費のことです。CPAが低いほど、広告の費用対効果は高い状態にあるといえます。
一般的に、同じ広告を長期間出稿し続けると同じユーザーへ繰り返し同じクリエイティブが配信され、競合も増えていくことから、CPAは徐々に高くなっていく傾向にあります。CPAの高騰は、広告で一定の成果が出て、その後伸び悩む状況を示しています。広告を拡大しても成果が出る見込みが低いため、LPOを実施して集客効率を上げることが大切です。
サイトのリニューアルや広告のクリエイティブ変更などがあった場合も、LPOの実施に適したタイミングです。クリエイティブとあわせてページの課題を改善することで、新しいクリエイティブによる成果を高めることができます。
また、ターゲットを変更すると最適なクリエイティブも変わるため、そのタイミングでLPOも実施しましょう。
LPOの成果を高めるには、継続的なパフォーマンスのモニタリングと改善が必要です。そのためには、LPのパフォーマンスを正確に測定できるツールが欠かせません。
LPOに活用される主なツールは、以下の通りです。
LP作成機能から効果検証・クリエイティブの改善まで一括で対応できるツールなら、PDCAのサイクルを早めることが可能です。
LPOを実施する一番のメリットは、見込み客の購買意欲を効果的に醸成できることです。訪問者の課題やニーズに合わせた訴求を展開することで、商品・サービスに興味を持ってもらいやすくなります。ユーザー視点でLPOの施策を立案し、成果につなげましょう。
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