この事例の要約
- グローバルで点在する顧客情報と定着しなかったCRM/SFAという課題を抱え、「2回目の挑戦」としてHubSpotを導入。単なるシステムの入れ替えではなく、マーケティングから営業・案件管理までを一体で再設計することを目指した
- 12種類のペルソナをもとに顧客理解を深め、Webサイトを再構築。AI検索時代を見据えたAEOにも着手
- 物流業界固有の複雑な商流もHubSpotのカスタムオブジェクトで実装した
- 運用開始直後ながら、グローバル280名がHubSpotを活用。定型業務の効率化と顧客情報の一元化が現場で動き始めている
- データでつながる営業基盤を軸に、グローバルアカウント戦略の高度化へ継続的に取り組みを広げている
企業概要
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項目 |
内容 |
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企業名 |
商船三井ロジスティクス株式会社 |
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業種 |
国際物流 |
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事業内容 |
国際航空輸送・国際海上輸送・ロジスティクス・海外引越のグローバル展開 |
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導入製品 |
HubSpot(Sales Hub・Marketing Hub・Content Hub) |
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構築パートナー |
株式会社HubOne(ハブワン) ※HubSpot認定ソリューションパートナー |
導入前の課題:グローバル営業基盤と顧客接点の分断
同社にとって、今回のHubSpot導入はCRM/SFA刷新の「2回目の挑戦」でした。目指したのは単なるシステムの入れ替えではなく、マーケティングから営業・案件管理までを一体で再設計し、グローバルで情報がつながる営業基盤を構築することでした。前回の経験を踏まえ、「どうすれば現場に根付くか」を出発点に据えてプロジェクトに臨みました。
課題1:グローバルで情報が点在し、VIP顧客への全体最適な提案機会を逃していた
グローバルに多数の拠点をもつ同社では、一社の顧客が複数の国・地域でサービスを利用するケースが少なくありません。しかし顧客情報や営業活動の履歴は担当者・拠点毎に管理されており、ある拠点での重要な顧客関係が他拠点に共有されないまま、全体最適な提案機会を逃してしまうケースが多くありました。キーパーソンがどこにいるか、競合の動向がどうなっているかーそういった情報が拠点を超えて蓄積・共有されにくかったことが、グローバルアカウント戦略の立案を難しくしていたと言えます。
課題2:既存CRM/SFAが現場に定着せず、データが活かされなかった
同社は以前からCRM/SFAを活用していましたが、営業活動の可視化やデータ活用をさらに推進する余地があると感じていました。ダッシュボードの活用や運用改善を進める中で、現場からの要望をよりスピーディに反映しながら、自社で継続的に改善できる仕組みの必要性を感じるようになりました。また、グローバルでの活用やデータ分析基盤の強化を見据え、より柔軟に運用・拡張できるプラットフォーム環境の整備も重要なテーマとなっていました。
「もちろん既存CRM/SFAを活用しているチームもありましたが、全社的に見ると活用の度合いにはばらつきがありました。ダッシュボードも現場の声を聞きながら作り込んでいたのですが、日々の営業活動で自然と使いたくなるレベルまで浸透していたかというと、改善できる部分はあったと思います」と、CRM/SFA担当として今回のプロジェクトを推進した須永氏は当時を振り返ります。
課題3:マーケティングと営業がつながらず、顧客接点が点在していた
ウェブサイトの課題は、今回のプロジェクトより以前から認識していたものでした。競合と比べて直帰率が高く、ファーストビューの段階で半数以上の訪問者が離脱していることが判明していたものの、抜本的な改善には着手できていませんでした。また、CRM/SFAとウェブサイトを別々に運用していたため、問い合わせやコンテンツ閲覧などの顧客行動を営業活動と結び付けて把握することができませんでした。顧客との接点は存在しているものの、それらが分断されており、効果的なフォローや提案につなげられていないことが課題となっていました。
HubSpotを選んだ理由:現場が自走できる営業基盤を目指して
現場が自走できる、「使われるCRM/SFA」へ
半年かけて複数のCRM/SFAを比較検討した末にHubSpotを選んだのは、単に機能の優劣によるものではありませんでした。同社にはすでに独自の営業フレームワークが存在していたものの、Excelベースで運用していたため、現場へ浸透させることに難しさを感じていました。
HubSpotのプレイブックと案件ステージ管理を組み合わせて活用することで、既存の営業フレームワークを日々の営業活動の中に組み込みやすいと感じました。案件フェーズごとに実施すべきアクションや入力すべき情報を標準化でき、担当者の経験や属人的なノウハウに依存しない営業活動の実現につながる。そう判断しました。
ダッシュボードを自社で構築しやすい点や、HubSpotに蓄積される顧客・営業活動データと、物流基幹システム・会計システムのデータを組み合わせてBIツール上で可視化・分析できる柔軟性も、重要な評価軸となっています。
「私が強く感じているのは『自走しやすい』という点です。ユーザーから要望やアイデアが出てきた時に、外部ベンダーに頼らず自社で対応できる。管理者にとってもユーザーにとっても使いやすく、セルフカスタマイズができる。それがHubSpotの大きな魅力だと思っています」
― 営業戦略部 課長代理 須永氏

(営業戦略部 課長代理 須永氏)
自走を支えた、信頼できるパートナーの存在
プロジェクト推進にあたっては、HubSpot認定ソリューションパートナーの株式会社HubOne(ハブワン)とは、提案フェーズから密に連携しました。要件を解釈した上で迅速に提案を返してくれるスタイルが同社の進め方とフィットし、週次の定例を軸に自走しながら伴走してもらえる体制がプロジェクト全体を前へ動かし続けました。
導入プロセス:CRM/SFA構築プロジェクト
まず3ヶ月で立ち上げ、使いながら改善する
今回のプロジェクトは、当時営業戦略部長だった檜山氏がプロジェクトオーナーを務め、CRM/SFA担当の須永氏が社内の推進役を担いました。データアナリストとしてHubSpotに蓄積されるデータの活用設計を担う青沼氏、営業現場への定着を推進する吉田氏も加わり、4月より着任した笹野氏が部門長として参加しています。
「まずは3ヶ月で立ち上げ、使いながら改善していく」というコンセプトのもと、スピード感を持って動き出しました。
プロジェクトを推進する中で、現場の使いやすさと経営判断に必要なデータ収集の両立は、容易ではありませんでした。組織全体に使ってもらうためには入力のしやすさが不可欠ですが、一方で経営判断に使えるデータを集めるためには一定の入力項目が必要です。入力項目が多すぎるというフィードバックを受けることもあり、何をどう簡素化すれば両立できるか、そのせめぎ合いは今も試行錯誤が続いています。「まずベータ版で立ち上げ、そこから改良する。最初から完璧を求めるといつまでも立ち上がらない」と檜山氏は振り返ります。
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(プロジェクトオーナーを務めた檜山氏 ※プロジェクト発足当時 営業戦略部長)
物流業界の複雑な商流をHubSpotのカスタムオブジェクトで実装
国際物流では、1件の案件に対して複数の輸送区間が紐づき、それぞれに受注可否・金額が存在するという構造を持ちます。同社ではHubSpotのカスタムオブジェクト機能を活用し、パイプライン管理と輸送区間ごとの案件明細管理を組み合わせた独自のデータ構造を設計。案件全体の進捗把握と輸送区間単位の詳細管理を、一つのプラットフォームで実現しています。顧客の業務要件を踏まえながら複数の設計パターンを検討し、拡張性まで見据えて選択を積み重ねた結果です。
それぞれのシステムの得意を活かしたデータ連携構成
前回のCRM/SFA導入時、CRM上で実績とパイプラインを一緒に見せようと試行錯誤した経験から、「複雑な分析はBIツールの方が優れている」という認識は選定段階から固まっていました。社内にデータアナリストが在籍し、BIツールの運用知見があることも踏まえ、「それぞれのシステムが得意なことをやればいい」という方針のもと、役割分担を最初から整理した上でプロジェクトに臨みました。
HubSpotは顧客・営業活動管理に専念させ、より自由度の高い分析・可視化はBIツールに委ねる。物流基幹システム・会計システムとのデータ連携も見据えたこの構成は、将来的な拡張にも対応できる設計となっています。
導入プロセス:Webサイト刷新プロジェクト
自社の強みを整理し、12種類のペルソナを策定
CRM/SFA構築と並行して、Webサイトの全面リニューアルにも着手しました。プロジェクト開始後、最初に取り組んだのはペルソナとカスタマージャーニーの整理です。サービスが多岐にわたる同社では、顧客の業種や課題に応じて提供するサービスの組み合わせが数多く存在します。そこで、自社の強みを発揮できる領域を整理し、重点的に訴求すべきサービスを選定。今回のリニューアルでは、12種類のペルソナを策定し、それぞれの課題やニーズに対応したサービスページを制作しました。
HubOne(ハブワン)社が事前調査をもとにペルソナの素案を作成し、そこから2ヶ月をかけて営業部門も交えてヒアリングとレビューを重ねながら精度を上げていきました。その過程では、自社の強みや提供価値を改めて言語化し、顧客ごとの課題やニーズに応じた訴求内容を明確化。これまで十分に発信できていなかった当社の特徴や専門性を、ウェブサイトを通じて社外に伝えられる形に整理することができました。
「2ヶ月かけて業務理解をしながら営業部門とも協働したことで、ソリューションページを設計するのもしやすかったですし、お客様に寄り添ったサービス提供が当社の強みだということを改めて認識することもできました」
― 営業戦略部 課長代理 中野 氏

(営業戦略部 課長代理 中野 氏)
顧客の課題起点で情報設計したウェブサイトリニューアル
サービスページの構造とコンテンツ設計を全面的に見直し、顧客が「課題」を起点に必要な情報へたどり着けるサイトへと再設計しました。コンテンツ管理をContent Hub上で行うことで、タイムリーな更新にも対応できるようになりました。また、サービスごとの強みや顧客理解を整理・言語化したことで、今後のマーケティング施策やコンテンツ制作に活用できる基盤も整備されました。
商船三井ロジスティクス社におけるHubSpot活用方法
ウェブ上の顧客行動から問い合わせ、営業活動、案件管理までを一つのプラットフォームで管理できる基盤として、Sales Hub・Marketing Hub・Content Hubを組み合わせて活用しています。
Sales Hub:営業プロセスの標準化と案件管理
Sales Hubは、営業活動の管理・可視化・標準化を担うHubSpotの中核製品です。同社では主に以下の4つの機能を軸に活用しています。
- パイプライン・取引管理で案件ステージごとの進捗を一元可視化し、担当者・拠点をまたいだ営業活動の状況を共通の基準で把握できるようになりました。これまで拠点ごとに閉じていた案件情報が、同じ画面で見られるようになっています。
- プレイブックには、同社がExcelで整備していた独自の営業フレームワークを組み込みました。案件ステージが進むたびに実施すべきアクションや確認事項が画面上に表示されるため、担当者の経験値に依存しない標準化された営業活動を目指しています。
- カスタムオブジェクトを活用し、1案件に複数の輸送区間が紐づくという国際物流固有の商流をHubSpot上に実装しました。同社の業務要件に合わせたレコード設計が実現でき、今回の導入において重要な役割を果たしています。
- 営業シーケンスにより、フォローメールなどの定型業務を自動化。一部ユーザーでは繰り返しの作業を効率化し、付加価値の高い業務に集中できる環境が整い始めています。
Marketing Hub・Content Hub:顧客接点とコンテンツの統合管理
問い合わせフォームやコンテンツ閲覧などウェブ上の顧客行動を、HubSpot上の顧客情報・営業活動と紐づけて管理できる基盤を整備しました。顧客との接点情報が一つのプラットフォームで把握できるようになっています。
HubSpot導入による成果と現場の変化
運用開始直後のため、現時点では成果を数値で評価できる段階にはありません。それでも、プロジェクトを推進してきたメンバーには、確かな手応えが生まれ始めています。
定型業務の効率化が、営業担当者の時間の使い方を変え始めた
営業シーケンス機能を活用することで、定型的なフォロー業務を自動化できるようになりました。一部のユーザーからは繰り返しの作業が減ったという声が上がり始めており、付加価値の高い業務に向き合う時間が生まれています。
分断されていた顧客情報が一元化され、グローバルでの連携が現実になった
ウェブ上の顧客行動から問い合わせ、営業活動、案件管理まで、これまで拠点・担当者ごとに閉じていた情報が一つのプラットフォーム上で管理できるようになりました。グローバル280名がHubSpotを活用し、地域を超えた情報共有の基盤が整いつつあります。
顧客接点を強化し、より価値ある情報提供へ
今回のリニューアルにより、サービス情報の更新や発信をより迅速に行えるようになったほか、Webサイトと営業活動を一体的に運用するための基盤を整備しました。今後は、お客様との接点をより適切に把握しながら、一人ひとりの関心やニーズに応じた情報提供や提案活動につなげていくことを目指しています。
今後の展望:データ活用を起点とした営業DXの推進
同社では、今回整備した基盤を起点に、さらなる活用の拡大を計画しています。
今後はHubSpotに蓄積される営業活動履歴・案件進捗データをBIツールと連携させ、取引実績情報や収支情報も含めた統合的な分析基盤を構築することで、営業担当者が次のアクションをデータから導き出せる環境を目指しています。データアナリストとしてプロジェクトに参加した青沼氏は、「過去の振り返りだけでなく、営業活動の先行指標となる未来のデータを活用した営業変革」への期待を寄せています。
また、HubSpot上の商談記録や活動履歴を活用した営業ナレッジの組織資産化にも取り組んでいく考えです。
「今回の取り組みは単なるCRM導入ではなく、営業DXを通じた業務改革です。ウェブサイト、マーケティング、営業活動、経営判断をデータでつなぎ、より戦略的なアカウントマネジメントを実現していきたいと考えています」
― 営業戦略部長 檜山氏(※プロジェクト当時)
HubSpotの導入を検討されている方へ
商船三井ロジスティクス株式会社が実現した、ウェブ接点から営業活動・案件管理・経営判断までを一つのプラットフォームでつなぐ基盤。同じ課題をお持ちの方は、ぜひ一度デモでご覧ください。
HubSpotで何が変わるのか、まずはデモでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- Q. 商船三井ロジスティクスはHubSpot導入によってどのような変化を実現しましたか?
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ウェブ上の顧客行動から営業活動・案件管理までを一貫管理できる基盤が整いました。運用開始直後のため数値評価の段階ではありませんが、定型業務の効率化や情報共有のスムーズ化が現場で始まっており、グローバル280名がHubSpotを活用しています。
- Q. 業務要件が複雑な場合、HubSpotの導入はどのように進めますか?
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業務要件の整理と設計から支援できる導入体制が整っています。同社では国際物流固有の複雑な商流をHubSpotのカスタムオブジェクトで実装しましたが、これはシステム設定だけでなく業務要件の理解と設計から伴走できる認定パートナーとともに進めたことで実現しました。HubSpotには認定パートナー制度や導入支援体制が整っており、標準機能だけでは対応が難しい要件にも、適切なサポートのもとで対応できます。
- Q. 既存CRM/SFAからの乗り換えはどのように進めましたか?
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「まず立ち上げ、使いながら改善する」というアプローチで進めました。同社はCRM/SFA導入2回目の経験を踏まえ、最初から完璧を求めず、3ヶ月での立ち上げを優先しました。営業フレームワークの整理を先行させ、業務に合わせたデータ構造を設計した上でシステムに組み込み、その後継続的にブラッシュアップしています。
- Q. HubSpotのAEO機能とはどのようなもので、どう活用できますか?
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AI検索エンジン上での自社認知を可視化・改善するための機能です。HubSpotではAEOのレポートが週1回配信されます。そこでは、ChatGPTやGeminiなどのAI検索において自社がどのように認識・引用されているかを確認できます。同社では自社が強みと訴求している領域での認知ギャップを発見し、コンテンツ改善の指針として活用しています。

(本プロジェクトを推進された皆様。後列左から、商船三井ロジスティクス株式会社営業戦略部長(2026年9月当時) 笹野氏、営業戦略部 課長代理 須永氏、同部 課長代理 中野 氏、同部 主任 青沼氏、同部 グループマネージャー 吉田氏、前列左から株式会社HubOne コンサルタント 小向 雄大氏、マーケター 土岐 宜通氏、ディレクター 村瀬 輝瑠氏)