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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が購入前の認知から購入後のサポートまで、企業とのすべての接点を通じて体験する心理的・感覚的な価値の総体です。商品・サービスの品質や価格による差異化が難しくなった現在、CXは企業が選ばれ続けるための中心的な競争軸になっています。
本記事では、HubSpotが824名の売り手・買い手を対象として2026年に実施した調査データを交えながら、CXについて詳しく解説します。
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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、買い手と売り手とのすべてのタッチポイントで、「買い手が体験する心理的・感覚的な価値」のことです。商品・サービスの機能や品質、価格などの物質的・金銭的価値だけでなく、購入前の認知、検討から購入後のサポートまで、すべてが対象となります。
より良いCXを提供するためには、一時的ではなく長期に渡り良質な関係を築かなければなりません。そのためには、カスタマーサービスのような直接的なタッチポイントに限らず、広告やパッケージ、機能なども含め、提供する商品やサービスのすべての面を考慮する必要があります。
マスメディアだけでなく、SNSやデジタル広告など、消費者とのタッチポイントが急増している現在においてCXは重要視され、購買決定にも大きく影響を与えることがわかっています。PwCが実施した調査によると、全回答者の73% が「購買決定において価格や製品品質と同様に、体験が重要な要素だ」と回答しています。
| 概念 | 対象範囲 | 主な目的 |
|---|---|---|
|
CX(カスタマーエクスペリエンス) |
顧客と企業のすべての接点 |
顧客体験全体の価値向上 |
|
UX(ユーザーエクスペリエンス) |
特定のプロダクト・サービス |
操作性・利便性の向上 |
|
CS(顧客満足度)・CSAT(顧客満足度スコア) |
特定の取引・接点 |
不満の解消・満足度の計測 |
|
DX(デジタルトランスフォーメーション) |
業務・ビジネスモデル全体 |
デジタル技術による価値創出 |
UXは、特定のプロダクトやサービスを利用したときのユーザー体験を指します。WebサイトやアプリのUI改善、商品の操作性向上などが代表的な施策です。CXはそのプロダクト体験だけでなく、広告で初めてブランドを知った瞬間から購入後のサポートや継続利用に至るまでのすべての接点を対象とするため、UXはCXを構成する要素のひとつといえます。UXだけを磨いても、購入から継続、リピートに至る過程で上質な顧客体験が伴わなければCX全体は向上しません。
CS(Customer Satisfaction)は、顧客満足度を指します。CSを数値化したものが、CSAT(Customer Satisfaction Score:顧客満足度スコア)です。CSが特定の接点における満足・不満という「結果」を測る指標であるのに対し、CXはその結果に至るまでの体験プロセス全体を設計・改善する概念になります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスに変革をもたらすアプローチです。CXとは目的が異なりますが、チャットボットの導入や顧客データの一元管理といったDX施策はCX向上の手段として機能します。
顧客を取り巻く環境は、この数年で大きく変化しています。情報収集の手段が多様化し、顧客が企業と接触する前にすでに多くの判断を終えている場面も珍しくありません。こうした変化がCXを経営課題の中心に押し上げています。
インターネットの普及やIT技術の革新により、身の回りには、多くの情報・モノで溢れています。優れた商品・サービスが開発されても、機能面はすぐに模倣され、従来は価値が認められていた商品・サービスであっても、価格を下げなければ売れなくなってしまう可能性があります。
こうした状況下では、商品・サービスに加えて、前後の過程に競合が模倣できない付加価値を付け、CXを高めることが重要です。
生成AIの普及で、FAQや簡単な問い合わせは顧客が自身で行う行動が一般的となり、カスタマーサービス部門に届く案件は必然的に複雑化しています。

HubSpotが実施した「カスタマーサービスに関する意識・実態調査 2026」によると、買い手の88% が問い合わせ前に自己解決を試みており、問題解決手段として検索エンジン(68% )や企業のFAQ・ヘルプページ(56% )が活用されています。

売り手全体では、顧客からの問い合わせ内容が1年前と比べて「大幅に複雑化・高度化した」「やや複雑化・高度化した」が合計27%となっています。「変わらない」が 67%を占めているのも着目ポイントですが、「やや単純化した」「大幅に単純化した」は 6%に留まります。BtoB、BtoCで大きな違いは見られませんでした。
カスタマーサービス業務タイプ別では、受動的なサポートを中心とした層よりも、能動的なフォローを兼務する層の回答で、「大幅に複雑化・高度化した」「やや複雑化・高度化した」の割合が顕著に高い結果となっています。「個客」に寄り添う必要がある担当者ほど、問い合わせの質的変化をリアルに感じ取っているといえます。
顧客の発信力が高まっていることも、CXの重要性が増している理由です。顧客はWebサイトやSNSを通じて、自らの体験を世界に向けて容易に発信できるようになりました。良質な体験に関する口コミは企業ブランドを大きく向上させる一方で、悪い体験の拡散は企業ブランドを低下させてしまいます。
企業はCXを向上させて、ポジティブな意見が拡散されるよう力を入れることが大切です。
CXの改善は、顧客との関係性を長期的に強化するだけでなく、企業の収益にも直接影響します。代表的な効果は次の3つです。
顧客ロイヤルティとは、顧客の企業に対する忠誠心や愛着心をあらわす言葉です。良質な顧客体験を構築し、顧客への提供価値を最大化できれば、顧客ロイヤルティが向上します。
顧客ロイヤルティを向上できれば、自ずとリピーターの増加にもつながります。結果的に、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めることができ、企業の利益ももたらされます。
情報やモノであふれている現在において、商品・サービスの品質や機能だけで競合と差異化を図ることは難しくなっています。そこで求められるのがCXの向上です。企業やブランド独自の顧客体験を提供することで、競合との差異化が可能になるからです。
競合と同じ品質の商品・サービスを提供している場合であっても、「カスタマーサービスが丁寧である」「トラブルにすぐに対応してくれる」などの強みがあれば、顧客から選ばれやすくなるでしょう。
CXを高めると、ブランドイメージ形成の効果も期待できます。
顧客が商品やサービスに信頼と愛着を持つようになれば、ブランドへの好意も醸成されます。その結果、自社の他の商品やサービスを利用してもらえる可能性が高まるでしょう。
顧客ロイヤルティの高い顧客はブランドの良質な口コミを拡散する傾向があるため、新規顧客の創出にもつながります。
CXの向上は、特定の部門だけが取り組む施策ではありません。顧客と接点を持つすべての部門が連携し、体験の質を継続的に改善していく組織的な取り組みが必要です。ここでは、実務で活用できる方法を解説します。
CXを向上させるために、まずはペルソナ・ターゲットを明確に設定しなければなりません。CXでは顧客視点を持つことが大切であり、ペルソナ・ターゲットがあいまいだと、その後の戦略がぶれてしまうからです。
ペルソナやターゲットの設定に必要な要素は、対象とする顧客やビジネスモデルにより異なりますが、一般的には次の項目が用いられます。
より効果的なペルソナ・ターゲットを設定するには、自社に都合の良い情報ではなく、客観的なデータを用いるように留意しましょう。

顧客の視点や行動を把握し、タッチポイントを可視化することで、より確度の高いCX施策の立案が可能です。その際、有効なのがカスタマージャーニーマップの活用です。
カスタマージャーニーマップとは、見込み客の行動や思考、心理状況の変化、感情などを分析し、その情報をベースに適切なアプローチ方法を考え出すためのフレームワークです。
見込み客が顧客になるまでのプロセスを「認知、興味・関心、比較・検討、行動」の4つに分け、それぞれのタッチポイントや行動、思考・感情、施策などを可視化します。購入プロセスのあらゆるデータを分析、推定することで、方向性が明らかになります。現状の課題の抽出や部門間やチームメンバーとの情報共有が迅速かつ正確に行える点もメリットです。
CX向上には、顧客第一主義の視点が必要です。しかし、顧客個々の情緒や価値観を明確に把握するのは難しいでしょう。そこで、インターブランドが提唱する「顧客が求める体験価値の5要素(Five Emotional Cues)」を参考にすることをおすすめします。
| 要素 | 問いかけ |
|---|---|
|
RELEVANCE |
ブランドのメッセージや姿勢が自分の価値観と合っているか |
|
EASE |
数ある選択肢の中でこのブランドを選ぶ意味を示してくれているか |
|
OPENNESS |
きれいごとではなく、真摯に向き合える信頼できるブランドか |
|
EMPATHY |
自分を理解し、共感してくれているか |
|
EMOTIONAL REWARD |
自分を大切に扱い、いい気分にさせてくれるか |
自社のタッチポイントをこの5要素で点検してみましょう。

HubSpotが実施した「カスタマーサービスに関する意識・実態調査 2026」では、カスタマーサービスに問い合わせる際に顧客が重視する点として、「回答の正確さ」(65% )、「回答の速さ」(60% )が上位に来ており、次いで「自分の状況を理解した個別対応」(52% )や「担当者の共感力・丁寧さ」(50% )、「問題が1回のやり取りで解決すること」(49%)が続きます。
カスタマーサービス担当者の対応品質がCXを直接左右するという事実を踏まえて、個々の顧客状況を可視化し、文脈を踏まえた対応ができる環境の整備が不可欠です。
HubSpotが提供するService Hubでは、他部門と連携したうえでの顧客データの一元化はもちろん、ヘルススコアや使用状況の可視化、フィードバックやコミュニケーションの管理などが実施できます。顧客それぞれに最適なタイミングで一貫した対応を提供することにより、CXの向上を目指せます。
近年はAI技術の進化により、個別対応の精度とスピードをさらに高められるようになっています。HubSpotのBreeze顧客対応エージェントでは、顧客一人ひとりの履歴や過去のやりとりを踏まえた文脈理解により、きめ細やかな対応を自動で実現します。
実際に、Breeze顧客対応エージェントを導入したチームでは、問い合わせの50% 以上が自動解決されるという成果も生まれました。また、チケット解決時間が導入前と比べて平均で39% 短縮されたというデータもあります。AIによる個別化対応は、担当者が「人間にしかできない業務」に集中できる環境づくりにもつながります。
生成AIの活用は、CX向上における重要な手段のひとつです。単純な問い合わせへの自動対応や顧客データの分析・活用により、カスタマーサービス担当者がより複雑で付加価値の高い対応に集中できる環境をつくります。
HubSpot調査によると、生成AIを業務に活用していると回答したカスタマーサービス担当者の割合は35% に上りました。

しかし、組織として活用を支援できている割合は42%にとどまっており、ツールの導入と組織的な支援の間にギャップが生じています。この支援の有無が、カスタマーサービス現場に大きな差を生んでいます。

支援や取り組みの具体的な内容を見ると、「AI活用のガイドライン・ルールが策定されている」が17%で最も多い回答となりました。最も求められている支援がAIの活用方法の指南ではなく「ガイドライン整備」であるという点は、現場の担当者がAIの活用そのものよりも先に、「どこまで使ってよいのか」という線引きに不安を感じていることを示唆しています。
AIを組織として使いこなすには、ツールの導入にとどまらず、使い方の指針と現場への支援体制をセットで整えることが大切です。
商品・サービスの品質だけで差異化が難しくなった今、購入前から購入後までの体験全体を設計・改善し続けることが、顧客に選ばれ続けるための競争軸になっています。自社の顧客について理解を深め、顧客にとって価値のある体験を設計することからCXの向上が始まります。
ペルソナの設定、カスタマージャーニーマップの作成、顧客データの一元管理、AIの活用は、いずれも顧客一人ひとりの体験を深く理解し、一貫した価値を届けるための手段です。どの施策も、顧客視点を起点に設計されていなければ効果を発揮しません。ツールを活用し、具体的な数値をもとにPDCAを回し続けられる仕組みを構築しましょう。
CXの向上を組織的に推進するためには、個々の顧客状況を可視化し、文脈を踏まえた一貫した対応ができる環境が前提になります。HubSpotのService Hubは、CRMと一体化したAI搭載のカスタマーサービスソフトウェアで、顧客情報の統合からヘルススコアの可視化、AI活用による対応品質の向上まで、CX向上に必要な機能をひとつのプラットフォームで管理できます。無料プランから利用を始め、事業の成長に合わせて段階的に活用範囲を広げることが可能です。
CSは特定の接点における満足・不満という「結果」を測る指標です。CXはその結果に至るまでの体験プロセス全体を設計・改善する概念である点が異なります。CSATはCXの状態を把握するための測定手段の一つとして活用されます。
まずペルソナ・ターゲットを客観的なデータをもとに設定し、カスタマージャーニーマップで顧客体験を可視化することから始めます。課題が特定できたら仮説を立てて施策を実施し、効果を測定しながらPDCAを回します。
HubSpotの無料のカスタマーサービスソフトウェアを使用して、サポート体制の拡大と顧客維持を促進
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