「そろそろ、うちの会社でも“SFA”を導入したいけれど、何から始めればいいのかわからない」
このように感じている方が増えています。
市場の競争が激化する中、業務効率化はもちろんのこと、「営業力」や「顧客満足度」の強化が早急の課題となっています。
言い換えれば、適切な営業支援システム(SFA)の導入が不可欠です。
SFAは、単なる業務効率化システムではなく、営業チームの生産性を底上げする強力な仕組みなのですが、それゆえに複雑さもあり、つまずく企業が少なくありません。
この記事では、SFAの導入を検討し始めたすべての方々を対象に、語句の意味といった基本事項から導入プロセス、成功事例まで、幅広く解説します。
この1記事を読めば、SFAを活用して営業成績を向上させる方法が明確になるよう、配慮して構成しました。
さっそく、「SFA入門」のセクションから、解説を進めていきましょう。以下を続けてご覧ください。
まず、SFA入門として、基本的な事項から解説します。
SFAは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略語で、日本語訳は「営業支援システム」が定着しています。
もう少し詳しく説明すると、“Sales Force(セールスフォース)” は、営業部隊や営業・販売部門といった意味があります。
「セールス フォース オートメーション」=「営業部門のオートマ化(自動化)を図るシステム」と理解するとイメージしやすいでしょう。
営業担当者や営業部のマネジャーが、手作業で行う必要のある煩雑な業務を削減し、時間と労力を節約することが、SFAの一義的な役割です。
さらに、SFAは高度なデータ分析やリアルタイムの情報共有を通じて、営業戦略の策定や顧客ニーズの予測に役立つ、貴重な洞察を提供します。
単に業務を効率化するだけでなく、営業活動の質を向上させ、成約率の向上や売上の増加を実現することが、SFAを導入する本質的な意義といえます。
SFAを導入するとできることの代表例として、以下が挙げられます(詳しい機能は後述)。
上記をお読みいただくと、SFAは営業部門にとって強力な支援ツールとなり、営業成績の向上にダイレクトに貢献することが、イメージできるのではないでしょうか。
実例を挙げると、Sales Hub(HubSpotのSFAサービスの名称)の場合、《導入後6ヶ月で成約率が78%向上》しています。
SFAについて調べている方の多くが、「CRM、MAとの違いは何?」という疑問をお持ちです。
定義や捉え方は各企業やツールのベンダー(提供元)によって異なるものの、ひとつの考え方としては、以下のとおり整理できます。
略語(略す前の語) |
日本語訳 |
対象顧客 |
対象構成 |
---|---|---|---|
CRM (Customer Relationship Management) |
顧客関係管理 |
潜在顧客〜プロモーター(推奨者)まですべての顧客 |
|
MA (Marketing Automation) |
マーケティングオートメーション |
おもに潜在顧客〜安心客 |
マーケティング部門 |
SFA (Sales Force Automation) |
業務支援システム |
おもに安心客〜新規顧客 |
営業部門 |
なお、近年では、CRMやMAと組み合わせて、SFAが運用されることが多くなっています。
「CRMシステムの一部に、SFAが含まれる」と捉えたほうが、実務に合うケースも多いでしょう。
【CRMシステムとの連携イメージ】
出典:HubSpot
「具体的にSFAって、どれを指すの?」
という疑問に対しては、SFAツールは、国内外のさまざまなベンダーから販売されています。
市場には数多くのSFAツールが存在しますが、主要なものには、Salesforce、HubSpot、kintone などがあります。
その他にも、主要な10のツールを国内の主要SFAツール10選&特徴や選び方を解説にて紹介しています。
出典:国内の主要SFAツール10選&特徴や選び方を解説(2023年8月)
SFAを選ぶ際のポイントや、SFA選定時の注意点についても下記の記事でお伝えしています。選定の際にはご確認ください。
次に、もう少し具体的に、“SFAの中身”を掘り下げていきましょう。
このセクションでは、
に焦点を当てて解説します。
5つのパートに分けて、見ていきましょう。
1つめの機能は「顧客管理」です。
顧客管理は、SFAのあらゆる機能のベースとなる部分です。
CRMとSFAを連携させて運用している場合、厳密には、顧客管理はCRMの領域となりますが、ここではSFAの観点から、その機能を詳しく見てみましょう。
SFAを導入していない企業は、Excelのスプレッドシートなどで顧客管理を行っているケースが多いでしょう。
スプレッドシートでは到達できない、正確性と高度さを持った顧客管理を、SFAが実現します。
2つめの機能は「商談化・案件化のサポート」です。
まだ商談に至っていない見込み客の“商談化”や、商談後に受注確度を高めて“案件化” をするうえで、ダイレクトに効果を発揮する機能として、以下が挙げられます。
たとえば、以下は実際のSFAの管理画面のイメージです。あらゆる関連情報を確認しながら、顧客の心をつかむ営業活動を展開できます。
3つめの機能は「営業業務の効率化」です。
SFAには、さまざまな日常業務を自動化したり、効率化したりする機能が搭載されています。
たとえば、以下は実際にSFAでタスク管理をしている様子です。
あるいは、チームのリーダー(マネジャーや部長)のマネジメント業務をサポートする機能もあります。
以下は、Sales Hubの「コミュニケーションインテリジェンス」という機能の例です。
などを、SFAを通じて行えます。
4つめの機能は「分析に基づいた全体管理」です。
いうまでもなく、営業成績を向上させるためには、データに基づいた戦略的な意思決定が不可欠です。
しかしながら、必要なデータが複数の場所に点在していれば、データ収集や分析に時間がかかります。
あるいは、営業チーム内にそのスキルがなく、他部署へ依頼しないと分析できない状況であれば、さらに時間がかかります。
SFAの導入がもたらす大きなメリットは、特別な分析スキルがなくても、専門家に頼んだかのような高度な分析が、すぐにできる点にあります。
以下は実際のSFA画面のイメージです。
フォーキャスト(予実管理)も簡単にでき、予算(目標)の達成率が、リアルタイムで一目瞭然です。
出典:フォーキャストツール
営業チームは、いつでも迅速に、データに基づいた意思決定を下すことが可能です。結果として、営業成績が向上します。
SFAの導入は、企業にとって営業部門を大幅に強化する重要なステップです。
しかし、そのプロセスを安易に行えば、失敗するケースもあります。成功へ導くためには、段階的なアプローチが必要です。
このセクションでは、導入前の準備から、選定基準、導入時のポイント、そして定着化のための戦略まで、SFA導入のプロセスを詳しく解説します。
SFAの導入を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。
まず、自らが直面する課題を明確にし、SFAを通じて解決したい具体的な目標を設定する必要があります。
ここが曖昧なまま、「SFAを入れれば売上が上がるだろう」という憶測で進んでしまうと、失敗しやすくなります。SFAと一言にいっても、ツール選びや方向性には幅があるためです。
【導入前の準備の主要なステップ】
SFAを導入する目的が明確であればあるほど、適切なツール選択が可能になり、導入後の成果も期待できます。
次に検討したいのが、SFAの選定についてです。
ツールの選択肢については、前出の表を再掲します。
出典:国内の主要SFAツール10選&特徴や選び方を解説(2023年8月)
企業ごとの目標やニーズに合わせて、どのような項目基準に重きを置くか(あるいは置かないか)は変わってきます。
以下は一般的に考慮すべき選定基準の例です。
【選定基準のリスト】
使いやすさや機能性は、実際に触ってみないとわからない面もあります。
デモやトライアルを活用し、実際の使用シナリオを想定して各SFAツールを評価することが望ましいでしょう。
詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。
SFAの導入は、単に新しいツールを導入するのとは訳が違います。
戦略的なステップを踏まないと、多くの投資が無駄になる恐れがあります。
不注意に導入すれば、使いこなせないシステムによる目標達成の遅れ、チーム内の混乱、さらには組織内での不満やストレスの引き金となるリスクがあるのです。
これを避けるためには、以下の3つのステップを慎重に含むことが必要です。
SFA導入は、テクノロジーの活用だけでなく、組織全体の意識改革とプロセス再設計の機会でもあると捉えて、導入を進めましょう。
導入したSFAを定着させ、営業成績の向上へつなげていくためには、導入後の運用と管理が鍵となります。
【運用と管理のヒント】
これらの戦略を実行することで、SFAシステムは単なるツールではなく、組織の営業力強化と成長を支える重要な資産へと進化します。
続いて、実際にSFAを導入した企業の事例を見てみましょう。
ここでは、HubSpotのSFAであるSales Hubを導入された企業を3例、ご紹介します。
不動産投資事業を行う株式会社ランドネットは、顧客情報管理の課題を解決するためHubSpotを導入しました。
ランドネットでは、セミナーを定期開催していましたが、その顧客管理をスプレッドシートで行っており、効果的なアプローチがしにくい状況でした。
【導入した理由】
【導入後の成果】
CRM・MA・SFAを統合的に導入した結果、セミナーからの面談申込数の増加という、明らかな成果が見られています。
【導入後のご感想(要旨)】
「HubSpotの導入で、顧客をポイントではなく線で考えることが可能になり、過去のコンタクト履歴を踏まえた提案ができるようになりました。これにより、顧客に寄り添った営業活動を実現できています」
顧客の行動を時系列で追えるため、深いコミュニケーションが取れるようになり、それが成果につながっています。
粘着テープや接着剤を製造販売するデクセリアルズ株式会社は、展示会で獲得したリード管理の属人化や、問い合わせ対応フローの工数に課題を感じていました。
【導入した理由】
【導入後の成果】
CRM・MA・SFAの導入により、営業部門およびマーケティング部門のプロセスを最適化した結果、大幅な業務効率化が実現されました。
【導入後のご感想(要旨)】
「HubSpotの導入により、見込み客の行動情報が可視化され、マーケティングと営業の連携がスムーズになった。導入から運用までのサポート体制にも満足。3ヶ月間の導入支援により、問題なく運用できている」
HubSpotの導入支援サービスをご利用いただいているため、スムーズにSFAが社内定着した様子がうかがえます。
インフルエンサー事業やD2C支援事業を展開するAnyMind Group株式会社は、世界13カ国に17拠点を持ちます。
「営業活動のブラックボックス化」や「顧客情報のサイロ化(孤立して連携されていない状態)」の課題を抱えていました。
〈リアルタイムで全拠点の現状を把握をすることが非常に困難で今後の見通しも建てられない、そんなカオスな状態がおよそ3年も続いていた〉といいます。
【導入した理由】
【導入後の成果】
SFA導入後は、海外拠点で400%超の売上成長を実現しています。
【導入後のご感想(要旨)】
「HubSpot導入により、営業活動の履歴がトラッキングできるようになり、『営業活動のブラックボックス化』もかなり解決できた。長期的には5年、10年と息を吸うようにシステムがカルチャーとして続いていくことが重要と考えている」
前のセクションでは、定着させて運用管理していくことの重要性をお伝えしました。
〈長期的には5年、10年と息を吸うようにシステムがカルチャーとして続いていくことが重要〉という言葉には、納得させられるものがあります。
「これからSFAの導入を本格的に検討したい」という方は、ぜひ続けてSFA(営業支援システム)導入の基礎ガイドと実践用チェックリストをご確認ください。
出典:SFA(営業支援システム)導入の基礎ガイドと実践用チェックリスト
【コンテンツに含まれるもの】
SFA導入を成功させるために知っておくべき知識が網羅された、きわめて実用的な資料となっています。
【無料】SFA導入を成功させるポイント!
SFA導入成功のためには、明確な目的設定と最適なツール選択が不可欠です。本ガイドでは、6つのステップに分けて詳細に説明しています。「SFA導入の基礎ガイド」と「実践用チェックリスト」を活用してスムーズな導入を実現しましょう!
本記事では「SFA」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
SFAの主要な機能は、以下のとおりです。
SFA導入プロセスの段階的アプローチとして以下を解説しました。
SFA導入の成功事例として3社をご紹介しました。
SFAは、単に業務の効率化を目指すだけでなく、営業部門がより価値ある活動に集中できるようにすること、そして最終的には顧客満足度の向上と企業成長に繋がることを目的としています。
組織全体の営業プロセスを変革したいとお考えでしたら、SFAは非常に有効な選択肢となります。
Sales Hubの無料版ではHubSpotのCRMでの顧客管理をベースに、様々なSFA機能をお使いいただけます。
効果的な営業活動を通じ見込み客との信頼関係を構築し、営業業務を自動化することで最適な方法で見込み客や顧客にアプローチしましょう。
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