生成AIは、プロンプト(テキストによる指示)を与えることで、学習したデータを基に短時間で文章や画像などのコンテンツを生成できる技術です。サービスによって得意分野や機能が異なるため、ニーズに合わせて使い分けることで、業務効率化や生産性の向上が期待できます。
本記事では、初心者でも使いやすい、おすすめの19の生成AIをご紹介します。文章生成や画像生成、動画生成、AI検索エンジンなど、生成対象に分けて解説するので、ツール選びの参考にしてください。
はじめに、おすすめの文章生成AIを4種類ご紹介します。なお、サービス内容や価格は2025年3月時点の情報です。
出典:ChatGPT
ChatGPTは、OpenAI社が開発した対話型の文章生成AIです。2022年11月の公開以降、わずか2か月でユーザー数が1億人を突破し、多くのユーザーに利用されています。無料プランと月額20ドルの有料プラン(ChatGPT Plus)があります。有料版では高性能モデル「GPT-4.5」を利用でき、より複雑な指示に対する出力精度が大幅に向上しているのが特徴です。
ChatGPTでは、まるで人間と会話しているかのような自然な対話を通じて、文章生成が可能です。アイデア出しやプログラミングコードの生成など用途は広く、個人利用はもちろんビジネスシーンでも導入が進んでいます。
こちらの記事では、ChatGPTについてより詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
出典:Claude
Claudeは、Anthropic社によって開発された対話型の文章生成AIツールです。テキスト生成力に優れ、人間の感情に寄り添うような、自然な文章を生み出すことに長けています。そのため、ブログのコンテンツや議事録、論文や資料、小説なども生成可能です。また、Google Workspaceと連携させれば、タスク管理などの用途にも活用できます。
一部の機能は有料プランのみ解放されていますが、基本的な機能は無料プランでも十分に利用できます。個人向けの有料プランは月額20ドルで、有料の法人向けプランもあります。
2025年5月には、高性能なコーディング能力、推論力を持ち合わせた「Claude Opus 4」「Claude Sonnet 4」の2種類が発表されました。
出典:Gemini
Geminiは、Google 社が2023年に公開した文章生成AIです。Google アカウントがあれば誰でも無料で利用でき、ChatGPTやClaudeと同様に対話型でテキストを生成可能です。当初は英語のみの対応でしたが、現在は日本語を含む40種類以上の言語に対応しています。特に、2025年3月に登場した「Gemini 2.5 Pro」は、高い性能を誇ると注目されています。
Geminiの大きな特徴は、Gmail、Google ドキュメントなど、Google の各種サービスと連携している点です。例えば、GmailやGoogle ドライブなどからGeminiアプリで情報を検索したり、Google ドキュメント上でGeminiを開いて、文書を要約したりできます。
月額20ドルの有料プランに加入することで、より推論能力やコーディングなどに優れた「Gemini Advanced」を利用できます。
出典:Breeze
Breezeは、HubSpot社が提供する、HubSpot製品上で利用可能なAIソリューションです。HubSpotのプラットフォーム全体にAI機能が組み込まれているため、マーケティングや営業、カスタマーサクセスなどの分野でシームレスに活用可能です。
Breezeは「Breeze Copilot」「Breeze Agents」「Breeze Intelligence」の3つの機能で構成されています。
Breezeを1つの機能として無料で利用できるのが、Content Hubに搭載されたAIコンテンツ生成ツールです。マーケティングメールやLPのコピー、広告文の作成、営業メールなどさまざまなコンテンツ作成をサポートします。
各業務を行う管理画面にAIが組み込まれているため、メール文やLPを作成する際に、自然な流れでAIを利用してスピーディにドラフトを作成でき、コンテンツのブラッシュアップにより注力できます。
次に、おすすめの画像生成AIツールを5種類ご紹介します。
画像生成AIで生成された画像は、社内資料やWebサイトへの掲載、SNSへの投稿など、ビジネスシーンでも活用されています。
出典:ChatGPT
ChatGPTは、文章生成だけでなく、画像生成においても優れた生成AIです。従来の画像生成では、「DALL-E」モデルが使用されていましたが、2025年3月にGPT-4oモデルに「4o Image Generation」と呼ばれる画像生成機能が搭載され、ハイクオリティな画像生成が実現しています。
具体的には、見本画像をアップロードして学習させたり、「〇〇風のイラストを生成」などのプロンプトを入力したりすることで、特定の画像や絵柄に似せた画像生成が可能です。
無料プランでは回数制限が設けられていますが、月額20ドルの有料プランでは、回数制限なく画像生成機能を利用できます。
Stable Diffusionは、画像生成AIの代表格として知られるオープンソース型のAIモデルです。モデルデータは無料公開されており、誰でも自由に利用・改良できるため、現在も世界中の開発者コミュニティで日々改良が進められています。ソースコードも公開されているので、研究用途や商用サービスなどに幅広く利用されています。
Stable Diffusionは、無料で使えるにも関わらず、生成可能な画像数に制限がありません。好みにカスタマイズできる点も人気の理由で、例えば、特定の画風に特化した学習済みのデータを組み込み、アニメ風のイラストや写真風の画像など、狙ったテイストの生成精度を高めることも可能です。
ただし、自身のパソコンに環境を構築する場合、高性能なグラフィックボードや数GB単位の空き容量が求められ、ある程度の専門知識も必要です。高機能な一方で、初めて画像生成AIに挑戦する方には、取り扱いが難しいと感じる可能性があります。
出典:Canva AI
Canva AIは、デザイン作成ツール「Canva」に搭載されている画像生成機能です。Canva上でテキストを入力すると、すぐに複数の生成結果がサムネイル表示され、選択することで、そのままデザインに組み込めます。
Canvaは、テンプレートを基にして手軽にデザインを編集できるサービスとして注目されてきました。近年、AI機能が加わり、生成画像に対するサイズ変更やフィルター加工などの編集も行えるようになったため、画像生成から加工、レイアウト配置まで、ワンストップで行えるのが強みです。
Canvaは日本語に対応しており、プロンプトも日本語で実行できます。無料プランでも一部の画像生成を試せるため、デザインが初めての方にとってもおすすめのツールです。
HubSpotはCanvaと連携しており、Canvaの「Magic Studio AIツールをプラットフォーム上で無料で使用できます。詳しくは公式サイトをご確認ください。
出典:Midjourney
Midjourneyは、高品質で芸術性に富む画像を生成することで注目された画像生成AIです。2022年には、Midjourneyで生成した絵がアメリカのコンテストで1位を獲得し、物議を醸しました。
Midjourneyは、現在、コミュニケーションアプリのDiscord(ディスコード)上で動作し、他のユーザーと同じサーバーでコマンドを入力すると、画像が生成される仕組みです。操作法は一般的ではないものの、シンプルなコマンドで操作できるのが強みです。詳細なスタイル指定やバリエーション作成機能も充実しており、下絵制作や広告・Webデザイン素材の生成など、幅広い用途で使用されています。
当初は無料トライアルが提供されていましたが、現在は完全有料制です。まずは公式サイトを確認し、他者の作例でイメージに近い画像があれば、そのプロンプトを参考にすると良いでしょう。
出典:DALL-E 3
DALL-E 3は、ChatGPTを開発するOpenAI社が提供している最新の画像生成AIです。高度な自然言語理解力を持ち、プロンプトに含まれるユーザーの意図を汲み取り希望に沿った画像を生成します。
例えば、「晴れた日に、笑顔で三輪車に乗る子どものイラスト」のような複数の要素を含むプロンプトでも、的確に解釈して画像を生成可能です。また、生成画像の一部を別の内容に差し替える「インペインティング」機能や、テイストの異なる複数の画像を提案してくれる機能も搭載しており、創作の幅を広げられます。
現在は、ChatGPTの有料版とMicrosoft Bingの「Image Creator」(無料)に統合され、一般ユーザーも利用できます。最新モデルの画像生成AIを無料で試してみたい方は、まずはBing Image CreatorでDALL-E 3に触れてみると良いでしょう。
画像生成AIについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
続いて、おすすめの4つの動画生成AIツールをご紹介します。
動画生成AIは、テキストや画像などをもとに動画を生成する新しいツールです。既存動画の拡張や、アバター制作に特化したツールも登場しています。
出典:Runway
Runwayは、AI映像編集のスタートアップ企業であるRunway社が2023年に公開した動画生成AIです。ブラウザ上で使用でき、テキストや画像から直接動画を生成する先進的なサービスとして注目を集めました。
テキストや画像、動画から動画を生成できる他、画像とテキスト、動画とテキストなどの組み合わせで指示することも可能です。チュートリアル動画やプロンプトガイドも充実しているため、初めて動画生成AIを使用する人も挑戦しやすいでしょう。
現在は、2024年にリリースした「Gen-3 Alpha Turbo」と2025年3月の「Gen-4」モデルを利用できます。短時間・低解像度ではあるものの、無料プランでも動画クリップを生成できるので、まずはそちらを試してみることをおすすめします。
出典:Synthesia
Synthesiaは、テキスト入力により、人間のように話す架空の人物動画(AIアバター動画)を生成できる動画生成AIです。音声の自動生成も可能で、230種類を超えるAIアバターに指定した文章を読み上げさせられます。
日本語を含む140以上の言語に対応し、滑らかなスピーチを生成します。ビデオ撮影やナレーション録音の手間を省略できるので、企業の研修動画や商品紹介動画などで、ナレーター代わりに活用可能です。企業専用のオリジナルアバターの作成や企業イメージに合う音声の合成など、ビジネス用途に特化したサービスが展開されています。
Synthesiaは有料のサービスですが、公式サイトでは短いデモ動画を無料で生成できます。ただし、完成動画を受け取るにはメールアドレスの登録が必要です。また、機能制限はあるものの無料プランも提供されているので、有料プランへ加入する前に試してみると良いでしょう。
出典:HeyGen
HeyGenは、AIアバターを作成できる動画生成AIツールです。100種類以上のAIアバターや300種類以上のテンプレートが用意されており、初心者でも扱いやすいと定評があります。
HeyGenはChatGPTが組み込まれており、スクリプト作成時に提案を活用可能です。機能制限のある無料プランの他、個人向け・法人向けの有料プランが展開されています。
出典:Sora
Soraは、ChatGPTで有名なOpenAI社が提供する動画生成AIです。テキストや画像をもとに、さまざまな動画を生成できます。生成プロセスには、肖像権侵害や誤情報などの問題を防ぐ仕組みが実装されており、安全に生成を行えます。
現在、SoraはChatGPTの有料版に加入することで利用可能で、プランに応じて生成動画の解像度や長さが変わります。
続いて、おすすめのAI検索エンジンツールを2種類ご紹介します。
AI検索エンジンとは、検索エンジン機能と生成AI技術を融合させたサービスのことです。「AI検索」とも呼ばれます。
出典:Perplexity
Perplexityは、情報検索に特化した文章生成AIです。ユーザーの質問に対し、インターネットにある情報を検索、分析し、回答を生成します。回答には出典元のURLが付記されるため、回答内容の信頼性を確認しやすいこともメリットの1つです。
無料プランでは機能の一部が制限されます。有料プランでは、すべての機能を利用でき、複数のAIモデルを選択可能です。
出典:Genspark
Gensparkは、2024年6月にMainFunc社が公開したAI検索エンジンです。複数のAIエージェントを連携させ、回答に必要な情報を収集、検証し、リアルタイムで専用ページ「Sparkpage」を生成します。出典元URLや統計データも表示されるため、信頼性の高い情報を効率よく取得できます。
無料プランでも基本的な検索機能を利用できますが、有料プランでは、すべてのAIエージェント、最新の大規模言語モデルを利用可能です。
ここからは、その他のおすすめ生成AIツールについてご紹介します。AI技術は革新的なスピード感を持って進化し、さまざまなツールに生成AI機能が備わるようになりました。
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365アプリに組み込まれたAIアシスタントツールです。Microsoft社が提供し、WordやExcelなど幅広いツールで活用できます。
ChatGPTの有料版で提供されている、深く考える能力に優れ、複雑な問題解決や戦略立案に強みを持つ推論モデルである「o1」を追加料金なしで利用可能です。コストをかけずにChatGPTの高度な推論モデルを試せるため、AIを使ってデータ分析やデータをもとにした予測をしてみたい人におすすめです。
なお、Microsoft 365 Copilotは、有料プランの契約とMicrosoft 365のライセンス契約が必要です。
出典:Notion AI
Notion AIは、ドキュメント作成やタスク管理などのツール「Notion」に搭載されているAIアシスタントツールです。既存文章から重要点を抽出した要約やドラフト案の生成、タスク管理までさまざまな機能を搭載しています。
Notion自体は無料で利用できるものの、Notion AIは有料です。Notionの有料プランや支払い方法に応じて、Notion AIに20~50%の割引が適用される場合があります。
出典:Notta
Nottaは、音声を文字化して重要なポイントを抽出するAIツールです。インタビューや商談、会議、セミナーなどあらゆる場面の音声を文字起こしできるため、議事録の作成などビジネスシーンで活躍します。
無料プランでは、1回3分、月に120分以内の文字起こしが可能で、有料プランでは文字起こし時間や要約回数が増えます。まずは無料プランで使用感を試すと良いでしょう。
出典:VALL-E
VALL-Eは、Microsoft社が開発する音声合成AIです。あらかじめ録音された音声を基に、決まったパターンで読み上げる音声を生成でき、わずか3秒の音声を読み取るだけで、声や口調を似せた音声を出力します。
ただし、2025年3月時点では一般ユーザー向けには公開されておらず、研究目的のデモや技術公開に限定されています。また、英語のみ対応しているため、今後は多言語への対応が期待されます。
本記事では、文章生成や画像生成、動画生成など、さまざまな分野で活用できるおすすめの生成AIをご紹介しました。それぞれの特徴やメリットを理解することで、目的に合った生成AIを導入できるでしょう。
ただし、生成AIの使用を禁止している企業もあるため、あらかじめ社内ルールを確認したうえで、日々の生活や業務に生成AIを取り入れてみてください。
今後、生成AIをコンテンツ制作に活用したいと考えている方は、こちらのガイドも参考にしてください。AI活用のメリットやプロンプト例、懸念点などを解説しています。
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