2025年から2026年にかけ、AIエージェントは「期待の新技術」から「ビジネスの標準装備」へとシフトしつつあります。従来のAIが「指示された特定のタスク」をこなすツールだったのに対し、現在のAIエージェントは、ユーザーが設定したゴールに向けて自律的に計画を立て、状況に応じて判断・実行までを完結させる「同僚」のような存在へと役割が進化しています。
AIエージェントが業務の効率を飛躍的に改善すると理解していても、いざ自社へ導入するとなると、どう活用すれば良いのか具体的にイメージできない企業も多いかもしれません。
本記事では、HubSpotでの劇的な効率化や自治体での先進的な取り組みなど、ビジネス・行政シーンにおけるAIエージェントの活用事例を8つ紹介します。具体的な事例とともに導入時のポイントも解説しますので、自社への導入のヒントとしてぜひ参考にしてください。
AIエージェントは、与えられた目標に対して自ら計画を立て、判断し、実行までを自律的に行うシステムです。従来のAIが「指示された特定のタスク(翻訳や要約など)」をこなすのに対し、AIエージェントは「顧客満足度を高めるために最適な回答を考え、実行する」といった、より高度で自律的な役割を担います。
AIエージェントは、商品開発、人事、経理、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、あらゆる部署で活用可能です。例えば、開発でのフィードバック分析や請求データ照合、定型的な質問への自動回答、複雑な対応履歴の要約や回答案の生成などで威力を発揮します。
はい、利用可能です。専門知識がなくても自然言語で指示を出すだけで、自分専用の業務効率化アプリやボットを簡単に内製できるツールが普及しており、現場主導での導入が進んでいます。また、AIエージェント機能が搭載されたツールを導入することで、専門知識がなくても誰でも簡単に利用できます。
「どの業務を、どの程度効率化したいか」という目的の明確化、継続的に運用・改善できる体制づくり、AIが正しく判断できるデータの整備の3点を押さえておきましょう。
ここでは、ビジネスシーンや行政におけるAIエージェントの活用事例を8つ紹介します。実例を参考にしながら、自社でAIエージェントを導入する際の適用範囲や手法を検討してください。
トヨタ自動車株式会社は、AIエージェントに関する独自システムの開発を進めています。
同社は、ベテランエンジニアの定年による大量退職や開発項目の急速な増加といった課題を抱えていました。社内のノウハウを効率良く蓄積・共有し、新型車の開発スピードを向上させるのが、AIエージェントを開発する主な目的です。
自動車の設計データを基盤とした新たなシステムの名称は「O-Beya(大部屋)」で、この仕組みが導入されることで、エンジニアがいつでもAIに相談できる環境が実現しています。
例えば、新車開発にあたって振動や燃費に関する質問を行うと、AIが社内データベースから適切な回答や資料を提示する仕組みです。従来は関連資料やデータの種別が多く、情報収集に多大な時間を要していましたが、AIエージェントを導入することで工数の削減が期待されています。
参考:トヨタ自動車、エンジニアの知見を AI エージェントで継承へ ー 競争力強化に向け革新的な取り組みを開始
株式会社ARISE analyticsは、KDDI株式会社が保有する位置情報や画像データなどを活用し、マーケティングやカスタマーサポートの改革支援などを提供する企業です。
同社では、採用活動の課題を解消するためにAIエージェントを導入しています。人材紹介会社以外の採用チャネルを有効活用し、限られたリソースで採用活動を最適化するために、採用活動の効率化に特化したツールを選択しています。
導入したツールは、ターゲットの抽出やスコアリング、求人サイトなどに掲載する文面の作成といった機能を搭載しているのが特徴です。さらにスカウト精度の改善機能を活用することで、候補者を効率良くリストアップできるため、企業から候補者にアプローチするプッシュ型の採用活動にも効果を発揮しています。
参考:『リクルタAI』で採用難易度の高いビジネスコンサルタントの採用に成功
NEXTは、イギリスを拠点にアパレルの小売業を展開するグローバル企業です。イギリス・アイルランドで450以上の実店舗を展開するだけでなく、150以上のグローバルフランチャイズストア、さらにはEコマースプラットフォームも展開しています。
同社は以前、内製のCRM(顧客関係管理)ツールによってCX(カスタマーエクスペリエンス)の強化に取り組んでいましたが、時代や顧客行動の変化に対応するために、AIを活用したCXオペレーションの改革を決めました。
1,000万人を超える世界中のユーザーから問い合わせが寄せられる同社にとって、多言語対応でグローバル展開が可能なCXソリューションは不可欠です。複数のチャネルに対応できるプラットフォームを導入し、音声以外のすべてのチャネルを統合。リアルタイムでチャットボットも接続した結果、全チャネル平均で問い合わせにかかる処理時間を15%短縮できました。さらに、月間チケット(問い合わせ)処理件数の初回応答解決率は9割を超えています。
AIエージェントの導入目的をCXの改革に絞り、グローバルかつマルチチャネル対応のAIエージェントを選んだことが成果につながった事例といえるでしょう。
参考:グローバル小売業のNEXTは、Zendesk AIの導入によりCX業務の効率向上とコスト節減に成功
Lushは、1995年にイギリスのドーセットで創業したコスメブランドです。同社は、カスタマーサポートを効率化するために、AIエージェント搭載型のコールセンターシステムを導入しました。
システム導入以前は、特にクリスマスシーズンに問い合わせが集中し、カスタマーサポート担当者に大きな負担が発生していました。そこで、顧客からの問い合わせを1つのプラットフォームに集約。シームレスかつ高品質なサービスを提供することを目的としてコールセンターシステムを導入しました。
AIエージェントの機能が備わったシステムを導入することで、顧客から寄せられた質問やクレームへの対応、割り引きの案内、寄付の受付といった作業を自動的に処理することが可能です。また、業務データにもとづいたレポートが自動生成されるので、分析結果をもとにしたオペレーションの改善・最適化にも効果を発揮しています。
参考:Zendesk AIの活用により、エシカルな価値感とポジティブな生き方を具現化するLush
損害保険ジャパン株式会社は、企業向け火災保険の事業において、非効率な業務フローに課題を抱えていました。各種書類を作成するためには、その度に代理店の担当者が、膨大な項目が記載されている固定資産台帳を確認・転記する必要があり、手間と時間がかかっていたといいます。
そこで同社は、情報の整理やテキストの生成に強みを持つAIエージェントの導入を決めます。書類作成に必要な情報を固定資産台帳から自動的に抽出し、転記できるシステムによって、95%の精度で自動化に成功しました。その結果、資料の前処理や転記にかかる工数の大幅な削減につながっています。
参考:AI inside、損保ジャパンの火災保険における業務効率化をAIエージェント「Heylix」で支援
富士通株式会社では、問い合わせ件数の増加やサポート対象範囲の拡大に対応できるカスタマーサポート体制の構築に課題を抱えていました。
そこで、同社が注目したのが、AIエージェントの機能を備えたコールセンターシステムです。AIエージェントの機能を活用することで、システム内に蓄積された問い合わせ履歴やナレッジベースを参考に、顧客からの問い合わせに対してAIが自律的に応答できます。
チャットボットは以前から導入していたといいますが、新しいシステムでは、より少ない手順で回答を導けるようになっています。具体的には、8回ほどのやり取りが必要だった作業が1回で済むようになり、問い合わせ対応の迅速化や顧客満足度の向上につながっています。
参考:富士通がセールスフォースの自律型AIエージェント「Agentforce」の本番運用で得た気づき | TECH+(テックプラス)
千葉県千葉市では、2024年から推進している「スマートシティ実証事業」において、職員の負担を軽減するためのAIエージェントを導入しました。
同自治体では、繁忙期になると区役所総合窓口の滞留や、多様な手続きによる職員の負担増加といった課題が発生していました。将来的に、窓口の省人化や無人化、言語・障害の有無を問わずに利用できるコミュニケーションやオンライン相談を実現するために、AIエージェントの導入を決めます。
具体的には、AIエージェント機能が搭載されたタブレットを、住民が使用する待合スペースと窓口コンシェルジュの持ち歩き用にそれぞれ導入しました。その結果、住民の質問に対する迅速な回答や的確な調査が可能になり、満足度向上につながっています。
参考:【働く人をアシストするAIエージェント】QURIOS AGENTが千葉市スマートシティ実証事業に導入 | 株式会社ワントゥーテンのプレスリリース
急速な事業成長に伴う顧客体験の維持・向上を目指してAIエージェントを活用した、当社HubSpotの事例です。
HubSpotのカスタマーサポート部門では、顧客アカウント数の増加に比例して問い合わせ量が増大し、製品の多様化によって個別対応の複雑さも増していました。しかし、サポート人員を際限なく増やし続けることは現実的ではなく、人員規模に依存しないサポート能力の拡張が急務でした。
そこで、定型的な問い合わせをAIで効率化し、人間がより高価値な業務に集中できる「ハイブリッドチーム」を構築。具体的には、CRMと統合されたデータ基盤を活用し、チャットボットとメールボットを段階的に導入しました。HubSpotに搭載されているCustomer agent機能は、CRMに蓄積された「過去のやり取り」や「行動履歴」を文脈(コンテキスト)として深く読み解いて回答を生成するため、定型的な自動応答ではなく、顧客一人ひとりの背景を理解した高い精度のAI対応を実現できるのが特徴です。
また、サポートメンバーが顧客対応中に即座に回答案やチケットの要約を得られるAIアシスタント「Breeze Copilot」も活用。その結果、グローバル平均で問い合わせチケットの41%(日本国内ではさらに高い数値)がAIによって解決されるようになりました。
メールボット導入後の解決率は約1.7倍に向上し、人員数を維持したまま対応件数と質の双方を向上させることに成功。AIが24時間体制で対応することで、夜間や休日といったサポート時間外の顧客体験も最適化されています。
多くの成功事例には共通するポイントがあります。AIエージェントを「ただのツール」で終わらせず、強力な「デジタルな同僚」にするための3つの鍵を解説します
AIエージェントには、さまざまな活用手段があるため、最適な場面で活用するにはまず目的や役割を明確にすることが重要です。全体のビジネスプロセスからボトルネックを特定し、それを解消するためにAIエージェントの導入を検討するのが理想的といえるでしょう。
例えば、マーケティングでは、戦略立案に必要なリサーチや分析といった業務をAIが自律的に実行してくれます。ほかにも、カスタマーサポートではチャット上で顧客からの問い合わせに対応したり、経理では自動的にデータを収集して帳票を作成したりといった活用が進んでいます。
目的や役割が明確になることで、必要な製品や機能が明らかになり、課題解決に近付きやすくなります。また、実現したい内容によっては、AIエージェントではなく、生成AIサービスやAIが組み込まれたプラットフォームを活用することで解決する可能性もあります。
最初からすべての業務をAIに任せるのではなく、小さな成功を積み上げる「段階的導入」が成功の近道です。一度にすべてを自動化しようとすると、顧客体験を損なったり、社内運用の負荷が爆発したりするリスクがあるからです。
AIエージェントがその実力を十分に発揮し、自律的に正しい判断を下すためには、その元となる情報が適切に整理されている必要があります。社内の各所にデータが散在した状態では、AIは必要な情報を正しく参照し、業務を完遂することはできません。
そのため、まずはCRM(顧客関係管理)などのシステムを活用し、顧客情報や対応履歴といったデータを一つの基盤に統合することが重要です。統合されたデータ基盤はAI活用の強固な土台となり、アウトプットの精度を大きく左右します。AIがアクセスしやすい「データの受け皿」を適切に整えることが、プロジェクトの成否を分ける第一歩です。
2025年から2026年にかけ、AIエージェントは単なる「効率化ツール」を超え、ビジネスの成長を牽引する「自律的なチームメンバー」となりつつあります。本記事で紹介した各社の事例に共通しているのは、AIに単なる「作業」をさせるのではなく、「課題解決や価値創造」というゴールを託している点です。
リサーチやデータ入力といった「点の業務」をAIエージェントに委ねることで生まれた時間は、人間にしかできない「顧客との深い対話」や「独創的な戦略立案」へと再投資され、ビジネスに真の循環をもたらします。
こうしたAIエージェントの力を、専門知識なしですぐにビジネスに活かせるのが、HubSpotの新しいAIエージェント機能です。
HubSpotのAIエージェントは、Smart CRMに蓄積された顧客データや対応履歴といった「自社の文脈(コンテキスト)」を直接参照して動くのが大きな特徴です。
自社に蓄積されたデータを基盤に、これらのエージェント群を活用することで、人員規模に縛られない事業成長が可能になります。まずは特定の業務から段階的にAIエージェントを取り入れ、ROI(投資対効果)を最大化する次世代のビジネス体制を構築しましょう。
HubSpotのBreezeは簡単に使える総合的なAIソリューション。
マーケティング、営業、カスタマーサービスの部門間連携を強化し、データを統合することで、ビジネスの成長を加速します。
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