インバウンドマーケティング戦略を活用すれば、ターゲットオーディエンスの方から企業に近づいてくることを促し、効果的なマーケティングを行うことができます。以下では、フライホイールの回転を維持し自社ビジネスを成長させるために必要な、Attract、Engage、Delightというインバウンド手法の各段階における具体的な戦略を説明します。
Attract段階の戦略
ターゲットオーディエンスやバイヤーペルソナを惹きつけるためのインバウンド戦略は、コンテンツの作成や開発が中心となります。
オーディエンスにアプローチする最初の手段として、ブログ記事、コンテンツオファー、ソーシャルメディア投稿など、価値を提供するコンテンツを作成し公開します。具体的には、製品の使い方に関するガイド、自社ソリューションが課題解決にどう役立つかについての情報、顧客の推薦コメント、キャンペーンや割引の詳細情報などが考えられます。
インバウンドマーケティングを通じてオーディエンスをさらに惹きつけるためには、これらのコンテンツすべてをSEO(検索エンジン最適化)戦略に則って最適化することが必要です。SEO戦略では、自社の製品やサービス、自社が解決できる顧客の課題、個々のターゲットオーディエンスを支援する方法などに関連の深い、具体的なキーワードやフレーズを絞り込む必要があります。
こうすることで、消費者がそのような情報を検索した際に、作成したコンテンツや情報が検索結果ページにオーガニックに表示されるようになります。こうして自社の情報を見つけてくれる人々こそが、ターゲットオーディエンスであり、理想的な顧客です。
Engage段階の戦略
インバウンド戦略でオーディエンスと信頼関係を築くには、リードや顧客に長期的な関係を築きたいと思ってもらえるような方法で対話や対応を進めます。このEngage段階では、自社が提供できる価値に関する情報を伝えます。
たとえば、顧客からの電話への対応と管理の方法には具体的な戦略があります。何らかの興味を持って電話をかけてきたプロスペクトに対して、カスタマーサービス担当者がどのように対応するかがポイントです。販売しているのではなく、製品ではなくソリューションなのだということを常に意識するようにしましょう。そうすれば、あらゆる取引で、顧客と自社の双方にとってメリットのある契約を結ぶことができます。つまり、自社と相性のよい顧客に価値を提供できるということです。
Delight段階の戦略
Delight段階では、購入後も長期にわたって顧客の満足度を保ち、支援し続けます。ここでの戦略には、チームメンバーがアドバイザーや専門家となり、いつでも顧客を支援できるようにすることなども含まれます。
相手の行動を踏まえた適切なタイミングでチャットボットやアンケートを表示して、顧客を支援したりフィードバックを依頼したりすると、顧客の満足につながるでしょう。チャットボットやアンケートは、カスタマージャーニー中どのタイミングで表示することが妥当で価値を生むかを考えて活用するようにしてください。
たとえばチャットボットは、新たに提供を開始した技術や戦術を利用する既存顧客の設定作業を支援できます。満足度調査のアンケートであれば、顧客が製品やサービスを購入した6か月後に送信することで、フィードバックを入手して改善案を検討することができます。
顧客満足に関しては、ソーシャルリスニングも重要な戦略の1つになります。ソーシャルメディアのユーザーは、企業のアカウント宛てにフィードバックを送ったり、質問をしたり、製品やサービスを利用した体験を報告したりすることができます。このようなやり取りには、フォロワーを支援し、支持し、勇気づけるような情報で反応し、ユーザーたちの言葉に耳を傾け、ユーザーたちを大切に思っていることを伝えましょう。
ここでもう1つ、顧客を満足させることに的を絞ったインバウンド戦略の特徴があります。それは、どのような状況においても、つまり企業にとって直接の利益にならない場合でも、顧客を支援するという点です。満足した顧客は、そのブランドの賛同者や推奨者に変わります。ですから、大小を問わずどのようなやり取りでも、丁寧に対応してください。