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Webサイトのリニューアルを検討するとき、「これまで通りWordPressで良いのか」と考える方は多いのではないでしょうか。CMSの選択肢は年々広がり、マーケティングやセキュリティなど、製品ごとに得意分野が分かれています。さらにAI検索の普及で、CMSに求められる要件も変化してきました。
本記事では、CMSとWordPressの違いを整理し、それぞれのメリット・デメリットやAI時代に適したCMSの選び方を、目的別に解説します。
WordPressは、CMSの一種に分類されます。CMSは、個人ブログから企業のコーポレートサイトまで、幅広く利用されています。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、Webサイトの制作や管理、更新を簡単に行えるようにするシステムのことです。現在のWebサイトの多くは、CMSによって構築・運用されています。
CMSのメリットは、更新のしやすさです。従来であればHTMLタグを使って手動で記述しなければならなかったところを、Wordと同じような直感的な操作だけで手軽に編集できます。例えば、文字を太字にしたいときは該当部分を選んで太字ボタンを押すだけです。
CMSで誰でも簡単にサイトの管理・更新作業ができるようになったことで、制作はWeb制作会社に依頼し、日々の更新は自社で行う、といった運用が可能になりました。
CMSは、提供形態によって大きく下記の3つに分類され、それぞれ自由度や運用負荷が異なります。
WordPressは、世界のCMSにおいて59.4%のシェア(2026年6月時点)を獲得している、最も人気のあるCMSです。日本国内に限ればさらに支持率は高く、CMSシェア全体の82.8%(2026年6月時点)を占めています。
参考:W3Techs(世界のWebサイト全体におけるCMSのシェア) 参考:W3Techs(日本国内のWebサイト全体におけるCMSのシェア)高いシェアは、情報やノウハウがWeb上に豊富に蓄積されていることを意味します。導入や運用で困ったときに参考情報を見つけやすい点も、WordPressが選ばれ続ける理由の一つです。
高いシェアを誇るWordPressには、利用者が多いことによる数多くのメリットがあります。一方で、運用面やこれからの時代を見据えると、いくつかのデメリットも見えてきます。
WordPressはオープンソース型CMSのため、無料で使うことができます。サーバーやドメインを用意する費用はかかりますが、WordPressのシステム自体は無料で利用が可能です。
HTMLやPHPなど、これまでWeb制作に必要とされていた専門知識がなくても、WordPressを使えばWebサイトが作成できます。レイアウト変更、画像や文書の挿入といった作業も簡単にできるため、効率的なWebサイト構築が可能です。
WordPressには、標準で搭載されていない機能が「プラグイン」という形で豊富に配布されており、これをインストールすることで、Webサイトにさらに多くの機能を持たせられます。
また、外観を構成するデザインや機能がパッケージになった「テーマ」も数多く配布されています。テーマをインストールすることで、デザインの手間をかけず、誰でもおしゃれで高機能なWebサイトを作れるのが利点です。
ここまでご紹介してきたように、更新が簡単に行えるように設計されています。特にブログ機能に強みがあり、日々情報を発信したいと考えている場合には自社で運用するという選択肢が取りやすくなります。プラグインを駆使すれば、さらに更新がやりやすくなるでしょう。
近年のWebマーケティングでは、Webサイトを持つのと同様に、SNSの重要性も無視できません。WordPressはSNSとの連携機能も優れており、デフォルトで連携機能を備えているテーマも多くあります。
シェア率の高いWordPressなら、使い方などの情報も数多くWeb上に公開されているため、操作方法がわからなくても、すぐに調べられます。そのため、独自開発された複雑なシステムに比べて、担当者変更時の引き継ぎがしやすいといえるでしょう。
世界中で使われているWordPressは、搭載されている機能や情報量が多い反面、ハッカーの標的にもなりやすいので注意が必要です。ハッカーからの攻撃を防ぐためにはセキュリティ対策が必須ですが、高度な設定と専門知識が必要になるため、大量の顧客データを扱うECサイトの構築などには不向きでしょう。
WordPress本体やプラグインは、セキュリティ強化や機能改善のために定期的にバージョンアップされます。しかし、本体だけを先にアップデートしてしまうと、プラグインが新しいシステム仕様に対応できず、機能停止やサイトの表示崩れを引き起こすことがあるため、注意が必要です。
アップデートを行う際は以下のステップが推奨されます。
閲覧者の状況に合わせてWeb体験を最適化するには、CRM(顧客関係管理)とのデータ連携が必要です。WordPressは標準ではCRMと分かれているため、閲覧者ごとのパーソナライズや、Webと営業・マーケティングの連動を実現しづらい傾向があります。
これらの課題は、CRMとCMSが統合されたシステムを導入するか、WordPressと連携可能なCRMを活用することで解決できます。HubSpotでも、無料プラグインによってWordPressとCRMの連携が可能です。
WordPressと他のCMSのどちらが向くかは、自社の状況や目的によって変わります。自社がどちらに当てはまるかを確認してみましょう。
WordPressは、次のようなケースに適しています。
WordPressは、ブログやオウンドメディアを主軸とし、低コストかつ自社で柔軟に運用したい場合に適しています。既に制作体制や運用のノウハウが整っている場合や、複雑なCRM連携、高度なパーソナライズを現時点で必須としない場合であれば、WordPressの持つ高い汎用性やカスタマイズ性が大きな強みとなります。
一方、次のようなケースでは、他のCMSを検討する価値があります。
大規模・多言語サイトの構築や、顧客情報を扱うための強固なセキュリティを求める場合は、他のCMSを検討すべきです。また、AI検索時代に対応した構造化コンテンツの管理や、CRMと連携した精度の高いパーソナライズ、マーケティング施策の自動化を強化したい場合も、専門的な特化型CMSの方がビジネス成果に直結します。
WordPress以外にも、強みの異なるCMSが存在します。ここでは、下記の5つの観点から代表的なCMSを紹介します。
HubSpotのContent Hubは、顧客情報を一元管理するCRMと一体になったクラウド型のCMSです。便利な機能の一つが、AIによる文章作成のサポートです。あらかじめ「どんな読者に向けて書くか」と「自社らしい言い回し」をAIに登録しておくと、その条件に合った下書きを自動で作ってくれます。毎回ゼロから書く手間が減り、文章のトーンのばらつきも抑えられます。
また、訪問者に合わせて表示する内容を変えることも可能です。たとえば、初めて訪れた人と、すでに取引のある顧客とで、見せるメッセージの出し分けができます。
そして、このContent Hubの価値をさらに高めるのが、リード創出や効果測定を担うMarketing Hubとの組み合わせです。両者をまとめた「HubSpot for Marketers」は、コンテンツ制作からリード創出・リード醸成・分析までを一つの基盤で行える、マーケティングに特化したCMSです。
また、AI検索(ChatGPT・Gemini・Perplexityなど)における自社コンテンツの表示状況を無料で診断できるAEO Graderも提供しており、AEO対応の第一歩として活用できます。
なお、CMSを完全移行することに懸念がある場合には、今のWordPressサイトを使い続けたままHubSpotのCRMと連携できるWordPressの無料プラグインがおすすめです。このプラグインを使うことで、フォームやチャット、メール配信、レポートなどをWordPressの管理画面から利用できます。サイトを訪れた人や問い合わせの情報が、見込み客・顧客のデータベース(CRM)に自動で蓄積されていきます。
出典:Movable Type
セキュリティや安定性を重視する場合は、シックス・アパートが提供するMovable Typeが候補になります。
Movable Typeは、ページを静的なHTMLとして書き出せる国産のCMSです。2015年度から10年連続で、商用パッケージ型CMSの国内導入シェア(数量ベース)1位を獲得しており、大企業や官公庁、大学などに導入されています。
公開するサイト側にプログラムを置かない構成を取りやすいため、攻撃の対象になりにくく、アクセスが集中する場面でも安定して表示が可能です。管理画面のパスを公開サイトと分けられるほか、不正ログインを防ぐ認証ロックアウトなどの対策も用意されています。ベンダーによる公式サポートを受けられる点も、運用の負担を抑えたい企業にとってのメリットです。安全面に重きを置き、堅牢な運用を行いたい企業におすすめのCMSです。
出典:microCMS
フロントエンドを自由に設計したい場合は、ヘッドレスCMSのmicroCMSが選択肢になります。ヘッドレスCMSとは、従来のCMSと異なり、システム上にはコンテンツを管理する「バックエンド」のみが存在するCMSです。Webサイトの表示画面である「フロントエンド」を持たないため、APIを介して独自のフロントエンドを構築・連携させる仕組みとなっています。
コンテンツを管理する部分と表示する部分が分離しているため、表示側を最新の技術で自由に構築できます。また、1つのコンテンツを、Webサイトやアプリなど複数の出力先へ配信できる点も特徴です。管理画面は編集者にも扱いやすく、APIは開発者向けに最適化されているため、運用と開発の両面で柔軟に対応できます。
出典:Studio
Studioは、ノーコードでWebサイトを制作できる国産のツールです。テンプレートに縛られず、ドラッグ操作で自由にレイアウトを組めるため、コーディングなしでもオリジナルのデザインを実現しやすい点が特徴です。公開後はStudioのサーバーで管理され、SSL化も自動で行われるため、サーバーの保守を意識せずに運用できます。日本語でのサポートを受けられる点も安心です。
高度な検索機能や複雑なフォーム連携などには制限があり、大規模で複雑なサイトよりも、コーポレートサイトやLPに向いています。
出典:Drupal
大規模なサイトや多言語サイトを運用したい場合は、Drupalが選択肢になります。Drupalは、世界的に使われているオープンソースのCMSで、拡張性の高さが特徴です。
豊富なモジュール(拡張機能)を組み合わせることで、シンプルな企業サイトから、会員制サイトや大量のデータを扱う複雑なサイトまで柔軟に構築可能。多言語対応も標準的に備えており、世界各国の政府機関や大学、国際機関などでの採用実績があります。
自由度が高い分、構築や運用には専門的な知識が求められます。社内に技術リソースがある場合や、制作パートナーと組んで大規模・グローバルなサイトを長く運用したい場合におすすめのCMSです。
その他にどんなCMSがあるか知りたい方は、こちらの記事からぜひご確認ください。
なお、ECサイト向けのCMSとしては、Shopify、EC-CUBE、BASEなどもあります。
CMS選びは、単なるサイト作成ツールの選定から、マーケティング基盤の選定へと意味合いが移ってきました。その背景にあるのは、検索行動の変化です。
ユーザーが検索結果をクリックせず、AIの回答だけで疑問を解決する「ゼロクリック検索」が増えました。そのため、検索エンジンでの上位表示をめざす従来のSEOに加えて、AIの回答に自社が引用・推奨されるためのAEO(回答エンジン最適化)が、成果の鍵になりつつあります。
この変化を踏まえると、これからのCMSには次の3つの基準が求められます。
これらを実現しやすいのが、CRM(顧客関係管理)を基盤としたCMSです。サイトのコンテンツと顧客データが一つにつながることで、閲覧者ごとのパーソナライズや、AI経由の流入を含む成果の測定までを、分断なく行いやすくなります。
CMSを選ぶうえで大切なのは、自社が解決したい課題を起点に考えることです。WordPressは汎用性に優れたCMSであり、用途によっては今後も有力な選択肢であり続けます。
一方で、AI検索の広がりにより、CMSは「サイトを作るツール」から「成果を生み出すマーケティング基盤」へと変わりつつあります。運用負荷、セキュリティ、パーソナライズ、AEOへの対応など、自社が重視する観点を整理することで、目的に合ったCMSが見えてくるでしょう。
コンテンツと顧客データ、成果の測定を一つの基盤で循環させ、改善を積み重ねることが、これからの成長を後押しします。サイトの基盤を見直すこのタイミングは、CMSの選び方を捉え直す良い機会です。
CMS選定の判断軸は、「今の運用課題を解決できるか」と「AI検索時代に成果を出せる基盤か」の2点に集約されます。自社の目的に立ち返り、最適な基盤を選んでみてください。
提供形態や得意分野が異なります。WordPressはオープンソース型で自由度が高い一方、保守は自社対応が前提です。クラウド型は運用しやすく、ヘッドレス型は表示の自由度に優れるなど、目的に応じて適したCMSは変わります。
現状の課題が、運用体制の見直しで解決できるかどうかが一つの判断基準です。運用の工夫で解決できるなら、無理に移行する必要はありません。一方、パーソナライズやCRM連携、セキュリティなど基盤そのものに関わる課題であれば、他のCMSの比較検討が有効です。HubSpotであれば、完全に移行せずにCRMをWordPressと連携させることも可能です。
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