マーケティングアトリビューション
マーケティングアトリビューション

2020年版レポート/アトリビューション戦略

データ規制の波が広がっていますが、落胆する必要はありません。これを機会にKPIの見直しに取り組み、いっそうパーソナライズされたコンテンツをそれを求める人々に届けられるようにすることで、さらなる飛躍が期待できます。今こそデモグラフィックデータの一歩先へ進みましょう。

Bridget Zingale

アナリティクス担当ディレクター

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レポートとアトリビューションは、あらゆる業界のマーケティングに革命をもたらしました。マーケティングデータによって、企業は対象オーディエンスのニーズ、課題、関心に関する情報をより多く収集し、それらに基づいて意思決定を行えるようになっています。

長年にわたって、マーケティング担当者はデモグラフィック(人口統計学的)レポートを活用してきました。年齢、民族、性別、居住地、学歴、職業などのデータポイントは、マーケティングチームに情報を与え、キャンペーンの効果を全体的に高めます。

しかし残念なことに、製品やサービスを探している人、購入している人についてデモグラフィックデータから得られる情報は限定的なものです。

もっと「人間らしい」データ。それが今求められているのです。

主なポイントとエキスパートの洞察

レポートやアトリビューションなどは、これまでのマーケティングでは無機質な要素として考えられていました。人間味を持たせるといっても難しく思えるかもしれません。いくつか具体的な方法をご紹介しましょう。

まず、レポートの焦点をデモグラフィックデータから、サイコグラフィック(心理統計)データ行動データに切り替えることから始めます。そのためには、組織がデータを収集する方法と目的を大きく変える必要がありますが、詳しくは後述します。

次に、「データの民主化」を求めましょう。昨今はデータの収集も容易ではなく、通常は専任のマーケティング アナリティクス チームが管理しています。企業としてデータを収集して管理するにはこれでよいかもしれませんが、データの扱いが閉鎖的すぎると、社内のだれかが実際にデータを利用したり情報を得たりするということができなくなります。

アナリティクスチームに対して、もっとデータにアクセスできるようにしてほしいと社内の全員が要望を出すことをおすすめします。このプロセスを実現するには、マーケティングレポートの作成を自動化するシステムに投資し、そのシステムを通じて従業員が簡単に情報にアクセスできるようにします。また、データを適切に活用する方法を従業員にトレーニングすることも重要です。

効率化と連携の強化に組織全体で取り組みましょう。そのためには次のような方法があります。

  1. データ駆動型の企業に変革するという目標を全社的に掲げ、全部門の意思統一を図ります。
  2. マーケティングデータの保存先を決めます。データをどこに格納するか、その場所は現在利用可能か、従業員はどうやってそこにアクセスするのかを検討しましょう。
  3. 再現性のないレポート作成や一貫性のないデータ収集など、マーケティングレポートで陥りがちなミスを排除します。時間の無駄となるうえ、データにばらつきがあるとオーディエンスを的確に把握できず、成果を得ることもできません。
  4. データの収集、重要パターンの定義、自動化、定期な作成など、マーケティングレポートのプロセスを文書化します。プロセスの各部分に異なる担当者やチームを割り当てるのではなく、マーケティングレポートの作業分担はデータソース単位で割り振ることをおすすめします。そうすることで、収集から活用まで一貫して同じ従業員がデータを扱えるようになります。

アトリビューションへの投資を続け、収益への影響を見極める

引き続き、マーケティング アトリビューション レポートに注力しましょう。自社に対する顧客のファーストタッチやラストタッチ、また訪問者や顧客がどこからやって来ているかを明らかにしてください。

HubSpotの2020年版マーケティング最新動向レポートによると、現在アトリビューションレポートを使用している企業は50%にすぎず、活用していない企業は30%近くにもなります。

現在あなたの会社でアトリビューションレポートを活用していますか?

ビジネスの収益に貢献している取り組みを突き止めることは非常に重要です。それによりビジネスの拡大へ向けて時間、コスト、その他のリソースをどこに集中させるべきかを判断でき、どの取り組みを中止したり、比重を軽くしたりすればよいかがわかります。

常に機能強化が加えられているDatabox、Looker、HubSpot Marketing Hubなどのアトリビューションツールを利用すれば、いっそう正確でタイムリーなマーケティングデータを入手できます。

まずは「行動データ」を指針とする

これからは行動データを最も重視してみましょう。データの準備ができていなければ、まずは行動データの追跡を開始し、関連するマーケティングKPIを定義してください。たとえば、年齢や居住地などのデモグラフィックデータを追跡するのではなく、クリックスルー、オンライン購入、検索クエリ情報、オンサイトエンゲージメントなどの行動に注目するようにします。

行動データはデモグラフィックデータよりも有用なだけでなく、GDPR、CCPA、将来のデータ規制に関するコンプライアンス確立にあたっても有用です(後述)。さらに、行動に基づいて人々を特定し、理解して、効果的にターゲットを絞るうえでも役に立ちます。

行動データとサイコグラフィックデータを利用すると、訪問から具体的な行動に至るまでの人々の動きが見えてきます。つまり、これらデータはデモグラフィックデータよりも人々の関心や意図を的確に表しているのです。デモグラフィックデータからは、そのようなユーザーや行動についての情報は得られません。

HubSpotの2020年版マーケティング最新動向レポートでは、約25%の企業が今年のマーケティング活動の最優先事項は成約数を増やすことだと回答しています。同様の優先事項を検討している場合、行動データに基づくレポートは、この目標達成の取り組みにうってつけです。

HubSpotでは、いくつかのツール(当社自身のHubSpotインスタンスなど)やページ上から得られるデータに注目しています。訪問者がどのようにしてHubSpotウェブサイトにたどり着き、サイト上でどう行動したかという一連のイベントの流れを確認し、アクセスしたランディングページ、アクセスまでの経路、その結果に満足したかどうか(=コンバージョン率、シェア数、購入率)を調べています。

たとえば、LinkedInの投稿からHubSpotのホームページにたどり着いた人は、いくつかのページでクリックしてウェブサイトを探索して、最終的に4回目のクリックで製品ページに到達し、製品ページから営業チームの電話を依頼するボタンをクリックしていました。

このようなデータを収集すれば、的確な情報に基づいてビジネス戦略を最適化できます。ユーザーに必要な情報を提示し、デモの依頼などの行動に誘導できるコンテンツやサイト構成は何か、さらに深く理解することができます。

2020年はインサイトの自動提供を大規模に実現していく予定です。自然言語処理の継続的な開発と、各業界の重要指標を理解させるAIエンジンのトレーニングを通して、期待に沿ったインサイトを直接顧客に提供できるようになるはずです。顧客はその情報を基に、どこに注力すべきかを把握できます。
Jocelyn Chen Headshot

Jocelyn Chen氏

Seer Interactive、アナリティクスリード

行動データの有用性を調べるには、サイトの初期分析を行い、その結果を確認することをおすすめします。サイトをパターン化することで、多くのデータをチームやビジネスリーダーと共有できるようになります。

パターン化には、マーケティング、営業、サービスなどのビジネスチームが連携しやすくなるというメリットもあります。

最も重要な点は、これまでのデモグラフィックデータやセグメントデータでは、オーディエンスや顧客を人間としてとらえ切れていなかったということです。それぞれの個人がサイトをどのように利用しているかを理解できて初めてサイトを大きく改善できます。

重要なデータ規制を無視しない

これからどのようなデータを導入するとしても、データ規制は遵守しなければなりません。この機会に、データ規制に対して受動的ではなく積極的に取り組みましょう。特に重要なのがGDPRやCCPAです。EUやカリフォルニア州で事業を展開していなくても、特にデモグラフィックデータを利用する場合は、これらの規制の影響を受けます。

このことは、デモグラフィックデータの重要度が下がっている理由の1つでもあります。規制が強化されると、利用可能なデータが少なくなるだけでなく、データを通してオーディエンスを十分に把握できなくなります。デモグラフィックデータで行われるセグメンテーションでは、基本的に人々の選択は反映されておらず、オーディエンスを理解することにつながりません。

デモグラフィックデータでオーディエンスを定義するのをやめれば、人々の行動や意図をいっそう的確に理解できるようになります。データ規制に逆らわずに、上手に対応しましょう。

おすすめのレポート/アトリビューションツール

マーケティングレポートの作成とアトリビューションは手動では行えません。たいていはスマートで堅牢なツールが必要です。ただし、優れたツールは1つではありません。また最適なツールは、データが存在する場所や既に利用しているプラットフォームによって変わってきます。そして、ツールの選択によって今後何が必要となるかが決まります。

複数の異なるデータソースを扱っているのであれば、Lookerがおすすめです。Lookerは強力なクエリーツールで、柔軟性にも優れています。洗練された単一プラットフォームへの集約が完了していて、大量のデータを扱っている場合は、ソリューションの選択肢も増えます。たとえばデータがHubSpotにある場合、多くの強力なレポート機能とアトリビューション機能を利用できます。

レポート/アトリビューションの最新動向をチェック

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Bridget Zingale

アナリティクス担当ディレクター

HubSpotのBridget Zingaleが、現場で活躍するマーケティング担当者に向けてマーケティングアトリビューションとレポートの最新トレンドを解説します。データ規制によってレポート作成はどう変わるのでしょうか? 以前から気になっていた方はもちろん、初めて聞いて気になったという方もぜひお読みください。

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