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営業のAI活用は、リサーチや商談記録といった業務単位で組み込むほど効果が表れます。ただし、文面の作成やアイデア出しだけで終わると、AI活用の効果はあまり実感できません。効果を得るには、どの営業の業務の中で具体的にどう組み込むかを決めることが大切です。

本記事では、営業における商談前後の8つのAI活用例と、業務別の削減時間、チームへ定着させる進め方について解説します。
営業のAI活用は、定型業務の自動化により「顧客と向き合う時間」を創出する取り組みです。対象となる業務は、アプローチ先の選定から議事録の要約、案件の進捗分析まで多岐にわたります。
HubSpotが実施した日本の営業に関する意識・実態調査2026によると、営業職の生成AI活用率は、この1年で28.9%から43.4%へと14.5ポイント拡大しました。AI活用を前提とした営業活動が浸透しつつあることがわかります。

同時に知っておきたいのが、実はただAIを使うだけでは業務効率化はできないということです。
営業担当者の1商談あたりの準備時間は、平均68.4分でした。しかし、「AIを週1日以上活用している層」に絞って見てみると、一般的な準備時間より約20分も多い87.1分に膨れ上がっているという結果が見られました。

AI議事録や商談解析ツールなどを単体で導入すると、要約を別のシステムへ転記する工程や画面の往復が新たに発生します。過去の経緯を踏まえない出力も増え、かえって業務量が増えてしまうリスクがあります。
一方、AIを正しく活用することで、週当たりの業務時間を大幅に削減できたと回答する営業担当者も多く見られます。ほぼ毎日AIを活用している人は、週に3.6時間削減できたと回答しました。


中でも、「CRM/SFAへの活動記録の入力」が4.0時間、「アプローチ先のリストアップや優先順位付け」が3.9時間の削減と、特に高い結果を示しています。
参考:HubSpotが「日本の営業に関する意識・実態調査2026」の結果を発表
AIのポテンシャルを最大限に引き出すためには、闇雲に導入するのではなく、営業プロセスの中に適切に組み込むことが重要です。個々の業務特性を見極め、正しい手法で活用すれば、営業の業務効率化やパフォーマンス向上を実現できます。
商談前は情報収集と準備に時間を要する工程が集中しており、AIの効果が表れやすい領域です。メンバーのどの業務を対象にするか判断する材料として、リサーチからロールプレイングまで5つの場面を作業単位で紹介します。
リサーチ業務でAIを活用する際は、業界動向や競合状況、顧客企業の事業内容を調べ、要点だけを整理させると良いでしょう。
精度を上げるためには、指示の出し方がポイントです。「対象の業界」「知りたい観点」「出力の形式」を指定すると、必要な情報だけを受け取りやすくなります。また、決算資料やニュースリリースを読み込ませ、自社の提案に関連する箇所を抜き出す使い方も有効です。
<業界動向調査のAI活用例>
AIに条件や基準を指示することで、手元のリストから優先的にアプローチすべき企業を短時間で抽出できます。AIに「特定の業界」や「規模感」、あるいは「自社の強みが刺さりやすいペルソナ像」といった条件を指示することで、リストの中から優先度の高い企業をピックアップさせます。
この際、営業担当者が持つ「受注確度の高い企業の特徴」をAIに言語化して伝えることが、抽出精度を高めるポイントです。
また、CRM(顧客管理システム)と連携させると、より高度な自動化が可能になります。CRM上の成約データや商談履歴をAIが直接参照することで、人間では見落としがちな相関関係を発見し、自動的に優先度をスコアリングできるようになります。
<アプローチリストのAI分析活用例>
なお、HubSpotの案件創出エージェントのように、CRM上の顧客情報をもとに優先度の高い企業を自動で特定・発掘するAIツールもあります。営業リストの作成からAIエージェントで自動化できるため、準備時間の短縮が可能です。
メール作成やトークスクリプトの準備はAIが得意とする領域です。ただし、単に「メールを作成して」と指示するだけでは修正の手間が増え、かえって時間がかかることになりかねません。これが、「かえって業務負荷を増やす」要因の一つです。
効率化のポイントは、顧客とのこれまでのやり取りや抱えている課題といった「コンテキスト(文脈)」をAIに反映させることにあります。また、コンテキストを踏まえたメール作成で重要となるのが、CRMを基盤としたデータ活用です。
顧客の過去の商談履歴や現在進行中の課題、ステータスを直接参照させると、AIは単なる文章作成ではなく、個別の事情を踏まえた構成の検討まで担えるようになります。結果として、パーソナライズされた文章を、短時間でドラフト生成できるようになるのです。
AIを活用する際は、ただ「情報を渡す」だけではなく「コンテキストを共有する」という意識を持つことが、営業の業務時間を大きく短縮するポイントです。
<ターゲット別メール作成のAI活用例>
提案資料の作成では、提案の目的や顧客の課題といった情報をAIに渡し、構成案(ストーリーライン)を出力させる方法が有効です。0から考える時間が減るため、資料作成の着手段階で止まってしまう状態を避けられます。
また、出力された構成に対して、「この論点は補強できるか?」「競合他社と比較した場合の優位性はどこか?」といった視点で、AIに論点の深掘りや修正案を考えさせる使い方も可能です。自分一人では見落としがちな視点や論点をAIから客観的なフィードバックとして得られるため、資料の質を高められます。
たたき台をAIに任せたら、顧客固有の事情や熱量を反映する部分は担当者が書き加えましょう。AIの出力はあくまで「骨組み」として扱い、そこに担当者の知見を肉付けすることで、より説得力のある提案資料へ仕上げます。
<ストーリー構成案のAI活用例>
AIを活用したロールプレイングは、相手の予定を確保せずに繰り返せるのが利点です。生成AIに買い手役を設定し、想定される質問や反論を返してもらいましょう。
逆に、自分の提案内容をAIに説明し、フィードバックをもらう方法も有効です。説明の抜けや分かりにくい箇所を指摘させることで、話す順序を整えられます。
経験の浅いメンバーが商談の型を身につける手段としても機能します。
<想定反論の切り返し練習のAI活用例>
参考:セレブリックス今井氏とHubSpot伊佐が語る営業組織の生成AI活用術:顧客体験向上と効率化を両立するには
商談中や商談後は記録と分析が担当者の負担になりやすい工程です。AI活用の効果が、数値として最も大きく表れる領域でもあります。議事録の要約から売上予測まで、3つの場面を紹介します。
CRMやSFAといったシステムへの入力業務は、AI活用による削減時間が最も大きい業務です。実際、活動記録の入力業務が、AI活用で週あたり平均4時間削減された、という調査結果も出ています。
活用方法としては、商談の録音や打ち合わせメモをAIが要約し、決定事項と次のアクションを整理して記録する流れです。入力の手間が減るだけでなく、記録の粒度がそろう点も利点です。記録が残る状態をつくることで、担当が変わっても引き継がれる情報の量と質を保てます。
なお、HubSpotのSales Hubでは、メールや通話を接続しておくと、やり取りが顧客レコードへ自動で記録されます。マーケティングやカスタマーサービスの担当者も同じ情報を参照できるため、部門をまたいだ対応でも経緯を追えるでしょう。
<議事録自動要約のAI活用例>
※録画後の要約・保存までを自動化する
フォローアップ(後追い営業)におけるAI活用では、商談後の反応や過去のやり取りを踏まえ、次に接触する案件とタイミングの優先度をAIが判定します。
案件数が増えるほど、担当者の記憶だけに頼る運用では対応の抜けが起こりやすくなります。AIによる優先度をもとに担当者が最終判断する仕組みを作ることで、抜け漏れを予防し、検討が進んでいた案件を取りこぼす場面を減らせます。
<商談後のフォローアップのAI活用例>
進行中の案件データをAIが分析すると、各案件の受注確度や停滞の兆候を客観的に把握できます。過去の受注・失注データに基づき、成約に至りやすい案件の共通条件をAIが導き出せるためです。
経験や勘に頼る属人化を防ぎ、データに基づいた重点案件の選定や効率的なリソース配分が可能になります。
<停滞案件の兆候分析のAI活用例>
AI活用を組織に定着させ、成果へつなげるためには、適切な運用設計が必要です。AI活用を成功に導く具体的なステップを解説します。
最初に決めるのは、AIに任せる業務と担当者が担う業務の線引きです。手順が決まっている業務はAIへ任せ、関係構築や条件交渉は担当者が担います。
目的を決める際は、具体的な水準に落とし込みましょう。「業務効率化」ではなく「報告業務を週3時間減らす」のように数値を入れて設定すると、成果を判断できます。目的をメンバーと共有し、評価の対象が処理件数ではないことを明示することが大切です。
AIの出力の質は、参照するデータの量と質に左右されます。顧客情報がメールや個人の管理表に分かれていると、文脈を踏まえた出力は返ってきません。
必要なデータを目的に沿って集め、CRMへ集約する環境を整えましょう。すべてを一度に集めようとせず、対象の業務に必要な範囲から着手していくのがおすすめです。
HubSpotでは、マーケティングや営業、カスタマーサービスの情報が1か所に集約する設計になっており、AI機能が直接CRMデータを参照できます。メールのドラフト生成・アプローチ先のスコアリング・商談記録の自動要約など、本記事で紹介した活用例の多くを、別システムへの転記なしで実行できます。
AI活用の定着は、組織の進め方で大きく変わります。
HubSpotの調査では、会社によるサポート体制が手厚くなるほど、生成AIの活用率(週1回以上)は向上する傾向が見られました。
参考:HubSpotが「日本の営業に関する意識・実態調査2026」の結果を発表
つまり、AIを単に「使っていい」とするだけでなく、具体的な使い方を学び、日常の業務フローに組み込む仕組みを作ることが、高い定着率につながることがわかります。
組み込みが進んだら、どの業務で何時間削減できたかを数値として記録・比較しましょう。感覚的な『効率化』ではなく削減時間を可視化することで、取り組むべき優先順位が明確になり、メンバーの納得感も高まります。
以下のように、自社の業務時間を計測・比較してみてください。
| 業務内容 | AI活用前の目安 | AI活用後の目安 | 週あたりの削減時間目安 |
|---|---|---|---|
|
活動記録の入力 |
5.0時間 |
1.0時間 |
4.0時間 |
|
アプローチ先の選定 |
5.0時間 |
1.1時間 |
3.9時間 |
※AI活用前の目安は参考値です。週あたりの削減時間はHubSpot『日本の営業に関する意識・実態調査2026』をもとにしています。
AI活用の際には、情報の正確性に注意が必要です。
生成AIは、学習で得たパターンと入力内容をもとに、もっともらしい文章を予測・生成する仕組みです。そのため、誤った情報が出力されることもあります。生成された文章は、一次情報や信頼できるデータをもとに、必ず自分自身で最終確認を行いましょう。
また、会話型の生成AIでは、一度で求める答えが出力されることはほとんどありません。何度も会話のラリーを重ね、プロンプトを改善していくことで精度を上げましょう。
営業でのAI活用は、リサーチや商談記録の入力といった業務単位で組み込むことで効果が表れます。ツールを導入した数ではなく、どの業務のどの工程にAIを組み込んだかが、成果を分ける要因の一つです。削減時間の大きい業務から着手すると、成果を数値として確認しやすくなります。
成果を左右するのは、AIに渡す情報の質です。顧客の課題や過去のやり取りといった文脈を参照できてはじめて、AIの出力は提案の材料になります。文脈が集まる場としてCRMを整えることが、効率化を成果へつなげる前提になります。
定着の度合いは、組織としての進め方によって変わります。利用を認めるだけの段階と、業務フローへ組み込む段階とでは、活用率に差が生まれています。使う場面を日々の業務のなかに設けることが、チーム全体で成果を出す土台です。
HubSpotのSales Hubは、CRMを基盤としたAI搭載の営業支援ソフトウェアです。リサーチから商談記録までを業務プロセスへ組み込みながら営業のAI活用を進められる設計になっており、無料プランから利用を始められます。
対象の業務を絞れば、数週間で削減時間を数値として確認できるものもあります。まず一つの業務にAIを組み込み、着手前後の所要時間を記録して比較する方法が有効です。複数の業務や複数部署でまとめて展開すると、効果の要因が分かれて評価がしづらくなります。
AIに任せる業務の範囲と、参照させる顧客データの所在を先に決めます。この2点が定まっていないと、機能の比較だけが先行しがちです。対象の業務が決まれば、必要な機能とデータ連携の要件も具体化します。ツールの比較は、その要件が固まったあとに進めるのが順序として自然です。
手順が決まっている定型業務(議事録要約・メール作成・リスト抽出など)はAIに適しています。一方、関係構築や条件交渉、顧客固有の事情を踏まえた最終判断は担当者が担うべき業務です。
必須ではありませんが、CRMがあるとAIの出力精度が大きく向上します。顧客の過去のやり取りや課題といった文脈をAIに参照させることで、提案の質やメールの精度が高まります。
汎用AIは個別の指示に都度答えますが、CRM連携型のAIは顧客情報を直接参照して文脈を踏まえた出力が可能です。業務プロセスへの組み込みや自動化の面では、CRM連携型の方が営業での活用効果が高くなります。
Sales Hubの無料版ではHubSpotのCRMでの顧客管理をベースに、様々なSFA機能をお使いいただけます。
効果的な営業活動を通じ見込み客との信頼関係を構築し、営業業務を自動化することで最適な方法で見込み客や顧客にアプローチしましょう。
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