導入事例

【HubSpot導入事例】株式会社SocialDog

作成者: 長島 茜(ながしま あかね)|2026/07/14 3:16:07

この事例の要約

  • 少人数で顧客対応を担うなか、問い合わせ対応の省力化と顧客のセルフサーブ促進を目的に、HubSpot Breeze 顧客対応エージェントを導入
  • 導入初期は正解率57%からスタートしたが、AIと人が連携しながら継続的に品質を改善し、自己解決率90%超を達成
  • 月間1〜3万円の追加コストで安定運用を実現しつつ、既存ユーザーへのサポートだけでなく新規顧客との接点創出にも活用を拡大
  • チャットボット導入がヘルプ記事の構造改善を促し、LLMO対策にもつながるという副次的な発見を得た

企業概要

項目

内容

会社名

株式会社SocialDog

業種

SaaS(SNSマーケティングツール提供)

事業内容

X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどの予約投稿、ソーシャルリスニング、分析サービスを提供

導入製品

HubSpot Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub、HubSpot Breeze 顧客対応エージェント

運用開始

2025年2月(顧客対応エージェント)

 

HubSpotの活用領域

株式会社SocialDogでは、HubSpotを営業・マーケティング・カスタマーサクセス・テクニカルサポートという事業全体の顧客接点管理基盤として活用しています。

  • 新規顧客の管理:インサイドセールス・フィールドセールス領域(Sales Hub)
  • 既存顧客の管理:カスタマーサクセス領域(Service Hub)
  • 問い合わせ対応:テクニカルサポート領域(Service Hub・顧客対応エージェント)
  • キャンペーン対応:マーケティング領域(Marketing Hub)

HubSpotをCRMの中核に据えるなかで、2025年にリリースされたAI機能「HubSpot Breeze 顧客対応エージェント」の運用にいち早く着手。本記事では、同機能の導入・活用を通じてどのような成果と発見があったかにフォーカスしてご紹介します。

 

導入前の課題:少人数での高品質なサポート実現

課題1:少ないリソースで高品質な顧客対応を実現したい

「サポートの専門組織を設ける余裕はないものの、顧客への対応品質は維持したい」。このような悩みに直面しているSaaSプロバイダーは数多く存在します。

本機能を導入する以前の同社も、IT部門やカスタマーサクセス部門が通常業務と並行しながらユーザーからの質問への応対を行っていました。少人数でお客様に向き合う体制のなか、繁忙期には対応が遅れたり、時間帯によって品質にばらつきが生じるという問題を抱えていたのです。

「顧客ができるだけセルフサーブで問題を解決できる状態が、最高のカスタマーサポート体制だと捉えていました。そのためには、ヘルプ記事を分かりやすくすることがまず何よりも大事だと考えていたものの、そのヘルプ記事のどこをどの優先度で改善する必要があるのかが分からない、結局ヘルプ記事を見ずに問い合わせをする方への対応が発生してしまう、などの課題も抱えていました」

― 株式会社SocialDog CRO 熊崎恵理香氏

 

課題2:ヘルプ記事のどこを改善すべきか、優先度がつけられない

コンテンツ管理チームは存在していたものの、「どこが分かりにくいのか」を顧客目線で体系的に把握する手段がなく、改善の優先度をつけられない状態でした。

 

課題3:顧客フィードバックを拾う場が少ない

プロダクト改善につながる顧客の声を収集したいという思いはあったものの、効果的な手段が見つかっていませんでした。

 

サービス選定の決め手:24時間自動対応と、データで改善できるナレッジギャップ機能

HubSpot Breeze 顧客対応エージェントとは

HubSpot Breezeは、日常業務をアシストする「Breeze Copilot」、特定タスクを自律的に実行する「Breeze Agents」、データを拡充する「Breeze Intelligence」で構成されるAI機能群です。

顧客対応エージェントは、Breeze Agentsの中核機能であり、RAG(検索拡張生成)技術を活用して顧客からの問い合わせに自動で回答するAIエージェントです。RAG技術により、企業が保有するヘルプ記事・WebサイトなどのドキュメントをAIが参照しながら、企業固有の専門知識に基づいた正確な回答を生成できます。

主な機能:24時間365日の自動対応、ナレッジギャップの可視化、人間へのスムーズな引き継ぎ

詳細は[顧客対応エージェント詳細ページ]をご覧ください。

 

同社が注目した3つの価値

顧客対応エージェントの紹介を受けた熊崎氏は、以下の2点から「自社の課題に完璧にフィットした提案だ」と感じたそうです。

  • 顧客対応エージェントが対応窓口の一つとなることで、人間が対応しなければならない件数を減らせる。
  • 「ナレッジギャップ機能」により、ヘルプ記事の改善優先度がデータで見える。

加えて、HubSpotクレジットは従量課金モデルのため、 まずは無料の範囲でテスト導入が可能でした。 リスクなく試せる点も、意思決定を後押しする要因となりました。

「HubSpot顧客対応エージェントを導入したのは、ちょうどテクニカルサポート担当者の採用に動いていた時期でした。体制を組むにあたって、そもそもの問い合わせ自体を減らす必要があると考え、無償での利用も可能だったことから、テスト的に顧客対応エージェントを導入しました」

― 株式会社SocialDog CRO 熊崎恵理香氏

 

導入プロセス:AIと人の役割分担を意識しながら、段階的に拡張

フェーズ1(2025年2〜5月):品質向上の対応に集中

2025年2月に自社Webサイトへ設置。既存のヘルプ記事・製品仕様書・FAQ等を学習ソースとして運用を開始しました。

導入から数週間後の時点で、正解率は57%・誤回答率は7%という状態でしたが、誤回答はソースを修正すれば改善できると判断。週次で回答を1件1件チェックし、誤回答があった場合はヘルプ記事を修正するという地道な作業を積み重ねていきました。

 

フェーズ2(2025年5月〜):AIと人間との連携フローを整備

品質が安定してきた段階で、複雑な問い合わせを人間に引き継ぐフローの整備に着手。 テクニカルサポート担当者が加わってからは、「チャットサポートだけで完結する割合を高める」 ことをKPIとして設定し、継続的な改善を続けました。

同年8月に運用上の事情により一時停止しましたが、9月に再開後、2026年2月には表示箇所をさらに拡大するなど、 活用の幅を着実に広げていきました。

 

フェーズ3(2026年3月〜):新規顧客との接点創出へ展開

サービスサイトにも新規ユーザー向けのチャットボットを追加し、ミーティングリンクへ誘導するフローを整備しました。これにより、「既存ユーザーへのサポート」と「新規顧客との接点創出」という2つの役割を一つのプラットフォームで担う体制が実現しました。

 

顧客対応エージェントの活用方法:現在の運用体制

3つのフェーズを経た現在、同社では以下のような体制で顧客対応エージェントを運用しています。

項目

内容

設置場所

自社Webサイト(既存ユーザー向け・新規ユーザー向けの2系統)

学習ソース

ヘルプ記事(精度優先でソースを絞り込み済み)

運用体制

テクニカルサポート担当者がナレッジギャップを週次月次で確認・改善

 

週次改善サイクル

図:株式会社SocialDogにおける顧客対応エージェントの活用フロー。自社Webサイトへの設置から成果創出までの流れと、継続的な改善サイクルを示す。

現在は以下の設置環境で運用しており、週次で改善サイクルを回しています。

  1. 週次レビュー:ナレッジギャップレポートを確認
  2. 課題の特定:顧客がつまずいているポイントを把握
  3. 優先順位付け:影響度と頻度に基づいて改善順序を決定
  4. 記事改善:データに基づき、ヘルプ記事を修正・更新(月3〜4件)
  5. 効果測定:自己解決率の変化を確認

 

導入による成果:自己解決率90%超。週次改善の積み重ねが生んだ安定した成果

定量的成果

指標

数値

備考

自己解決率

累計90%超(2025年通年)

月次でも安定推移

月間クレジット消費

1〜3万円

処理件数に応じて変動

新規向け展開後の有効商談数

導入前比130%程度向上

複数施策の複合効果

図:2025年2月〜12月の自己解決率(Deflection Rate)推移。 8月に一時停止の期間がありましたが、再開後も高水準を維持し、 2025年通年の累計は90.01%を達成しています。

運用開始以来、地道に品質を高め続けた結果、自己解決率は累計90%超(2025年通年)を達成しました。月間1〜3万円という運用コストで、問い合わせへの即時応答と24時間対応を実現しており、人的対応と比較してもコスト・顧客満足度の両面で優位性があると同社では評価しています。

 

定性的成果:業務の変化

サポートチームの役割変化

顧客対応エージェントがサポートフォームと並行して対応窓口の一つとなることで、テクニカルサポート担当者は複雑な問い合わせや品質改善に集中できるようになりました。「チャットサポートで完結する割合を高める」というKPIを持つことで、AIと人が戦略的に連携していると言えます。

ヘルプ記事改善の仕組み化

ナレッジギャップ機能の導入により、ヘルプ記事の改善プロセスが大きく変わりました。

項目

導入前

導入後

改善判断の根拠

どこを直すべきか優先度がつけられない

頻度・影響度のデータで明確化

改善効果の測定

困難

自己解決率で定量化

月3〜4件というペースで着実にヘルプ記事を改善し続けることが、90%超という自己解決率の土台になっています。

 

導入後の気づき:チャットボットが拓いた、顧客との新しい接点

AIだからこそ、顧客が気軽に相談してくれる

問い合わせフォームと異なり、チャットボットは選択肢を選ぶ手間がなく気軽に使えます。そのためか、導入後、従来より率直な声が集まるようになったと言います。同社では、AIによって顧客の相談ハードルが下がり、要望をより広く拾えるようになったと評価しています。

こうして集まった声は、商談や打ち合わせで収集したフィードバックと同様に、VoCチャネルの一つとしてプロダクト改善に活用されています。

 

ヘルプ品質の向上が、LLMO対策にもつながった

同社では、ヘルプ記事の修正にとどまらず構造自体を見直すことになり、AIが読みやすい形に整えられたコンテンツが、HubSpotの顧客対応エージェントだけでなく、ChatGPTやGeminiなどのLLM(AIによる検索・回答生成)全般が参照する際の精度にも 好影響を与えることに気づいたといいます。

熊崎氏は「チャットボットを導入することで、自社メディアやコンテンツの弱点を知ることができる」と語っており、テクニカルサポート工数の削減を目的として始めた取り組みが、コンテンツ品質の向上とLLMO対策という思わぬ形で実を結んでいます。

 

今後の展望

同社では、より幅広い問い合わせに対応できるよう活用の幅をさらに広げていく計画です。

ヘルプ記事に加え、商談や打ち合わせで得たFAQもソースに追加することで、 より幅広い問い合わせに対応できる体制を目指しています。 特定の機能でつまずくユーザーに対しても、適切なタイミングで 個別具体の回答を届けられるよう、ソースの充実を続けていく予定です。

― 株式会社SocialDog CRO 熊崎恵理香氏

 

顧客対応エージェントについてよくある質問

Q. 顧客対応エージェントの導入・運用開始までどのくらいかかりますか?

SocialDog社は設置後すぐに運用を開始しています。既存のヘルプ記事を学習ソースとして設定するだけで始められるため、大規模な初期設定は不要です。

Q. 専任のサポート担当者がいなくても運用できますか?

可能です。SocialDog社も導入当初は専任チームを持たず、週次でナレッジギャップを確認・改善するだけで自己解決率90%超を達成しています。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

HubSpotクレジットは従量課金モデルです。SocialDog社の場合、月間1〜3万円の追加コストで安定運用しています。まずは無料の範囲でテスト導入が可能です。

Q. 既存のヘルプ記事をそのまま使えますか?

使えます。SocialDog社も既存のヘルプ記事・製品仕様書・FAQをそのまま学習ソースとして設定しました。導入後はナレッジギャップ機能で「どの記事が不足しているか」をデータで把握しながら改善を続けています。

Q. AI回答の精度はどのくらいですか?最初から高品質な回答が出ますか?

SocialDog社では導入初期の正解率は57%・誤回答率7%でした。ただし誤回答はナレッジベースの修正により改善できるため、継続的な取り組みにより自己解決率90%超の達成も可能です。

 

顧客対応エージェントの実力を体感してください

AIと人が連携しながら自己解決率90%超を達成したSocialDogの取り組み。実際の画面と機能を、デモでご覧いただけます。

貴社のサポート体制がどう変わるのか、15分のデモでご確認ください。

製品説明(デモ)を申し込む 

本事例は、2026年6月に実施したインタビューをもとに作成しています。

株式会社SocialDog CRO 熊崎恵理香氏