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マーケティングオートメーション(MA)のシナリオとは、見込み客が購入に至るまでの行動を見越し、その行動に適切な対応を設定することです。MAで作成したシナリオに合わせて、マーケターが適切なコンテンツを作成したり、適切なタイミングで自動配信したりして、リード(見込み客)の醸成を狙います。
インターネットの普及とデジタル技術が進化した昨今、人々の興味・関心は迅速に変化しています。この変化に適切に対応するためにも、顧客のニーズに応じたマーケティング施策を展開する必要があります。
マーケティングオートメーションを運用するにあたってシナリオ設計のポイントを理解し活用すれば、より効果的なマーケティング施策を実行できるでしょう。
本記事では、マーケティングオートメーションにおけるシナリオの概要や重要とされる背景、効果的な設計方法を解説します。具体例や運用のポイントもご紹介するので、シナリオ設定の参考にお役立てください。
マーケティングオートメーションシナリオについて、
動画で概要をご確認されたい場合はこちらをご覧ください。
マーケティングオートメーションのシナリオとは、マーケティングオートメーションツール(MAツール)を活用し、見込み客の行動や状況に応じて、適切なタイミングで情報提供やアプローチを自動的に行うことで、効率的なリード育成や顧客との関係構築を実現するための設計です。
市場から顧客を生み出すためのプロセスとして、以下の図が参考になります。

MAツールにおけるシナリオ作成は、リードジェネレーションによって見込み客を創出後、その関係を醸成するリードナーチャリングにおいて主に活用されます。また、すでに顧客となったターゲットとの関係維持や向上のためにもシナリオは活用されます。
例えば、無料トライアルを利用した見込み客に向けて、自動的にフォローアップメールを送信し、購入や契約の促進につながる情報提供を行うこともシナリオに該当します。シナリオを実践することで、効率的なコミュニケーションとターゲティングを展開し、見込み客のニーズに合わせた戦略的なアプローチを可能にします。
シナリオ設計が重要とされる主な理由は、次の3つです。
見込み客の興味・関心が高いタイミングを逃さず適切なタイミングで正しいアプローチができれば、機会損失を防ぐことができるでしょう。高い精度でのアプローチを可能にするためにも、「誰に・いつ・何を・どのように」アプローチするのかを明確にしたシナリオ設定が求められます。
また、MAツールにシナリオを設定すれば、見込み客のアクションにあわせて自動対応できるため、対応漏れによる見込み客の離脱防止が期待できます。自社への信頼性が高まり、見込み客との関係構築を効果的に行うことができるでしょう。
コストや工数の削減も重要な利点です。これまで手動で行っていたタスクやプロセスを自動化させることで効率的に処理でき、費用や時間、リソースの最適化が実現します。
MAツールには、顧客情報の収集、保存、状況に応じたコンテンツの自動提供などの機能が搭載されています。これらの機能の効果を最大限に引き出すためにも、適切なシナリオ設計が必須といえるでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)の成果を高めるには、単にメール配信を自動化するだけではなく、「誰に・どのタイミングで・どのような情報を届けるか」を戦略的に設計することが重要です。
ここでは、成果につながるMAシナリオを設計するための5つのステップを解説します。
まずは、マーケティングオートメーションを通じて何を実現したいのかを明確にします。
目的が曖昧なままシナリオを作成すると、配信内容や評価指標がぶれやすくなり、施策全体の効果検証も難しくなります。
例えば、次のように具体的な数値目標まで設定すると、シナリオ設計の方向性が定まりやすくなります。
<目的の例>
また、目的を定めることで「どのフェーズの見込み客にアプローチすべきか」「どのKPIを重視するか」も明確になります。シナリオ設計が途中で複雑化した場合も、最初に設定した目的へ立ち返ることで、施策の方向性を整理しやすくなるでしょう。
次に、シナリオを届ける相手となるペルソナを設計します。
ペルソナとは、実在する顧客データをもとに作成する具体的な顧客像のことです。例えばBtoBであれば、次のような情報を整理します。
<ペルソナ設計の例>
「誰に向けた情報なのか」が曖昧だと、配信するコンテンツやタイミングも最適化できません。そのため、フォーム入力情報や購買履歴、営業ヒアリング、アンケート結果などを活用し、実際の顧客データをもとに設計することが重要です。
特に、資料請求や会員登録、ウェビナー参加履歴などは、見込み客の興味関心を把握する重要なデータになります。
ペルソナを設計した後は、見込み客が購買・問い合わせに至るまでの流れを整理した「カスタマージャーニーマップ」を作成します。
カスタマージャーニーとは、見込み客の行動や心理変化を時系列で可視化したものです。
例えば、以下のような流れで整理します。
<BtoBの例>
このとき重要なのが、「データをもとに仮説立てを行うこと」です。
単なる感覚や予想ではなく、過去の問い合わせ履歴や営業現場の情報、アクセス解析データなどをもとに仮説を立てることで、より実践的なジャーニー設計が可能になります。
また、カスタマージャーニーの精度は、活用できるデータの質に大きく左右されます。
例えば、HubSpotのMarketing Hub では、CRMに蓄積された行動履歴・属性・商談状況と連携することで、「どのコンテンツに反応した見込み客が最終的に成約しやすいか」といったインサイトをシナリオ設計へ反映できます。
感覚や仮説だけでなく、CRMの実データを起点にジャーニーを設計することが、シナリオ精度の向上にも重要です。
カスタマージャーニーを整理したら、各フェーズに応じたコンテンツを設計します。
例えば、認知段階の見込み客には課題解決型の記事コンテンツ、比較検討段階には導入事例や比較資料など、フェーズごとに必要な情報は異なります。
<コンテンツ設計の例>
また、コンテンツだけでなく、「どのチャネルで届けるか」も重要です。
<主なチャネル例>
ターゲットの行動特性に合わせて、最適なチャネルを組み合わせることで、シナリオ全体の成果向上につながります。
また近年は、検索結果画面やAI検索上でユーザーの疑問が解決する「ゼロクリック」が増加しています。そのため、MAシナリオにおけるコンテンツ設計でも、単にクリックを促すだけではなく、AI検索に回答として引用されやすい構造化されたコンテンツを意識することが重要です。
例えば、
といったAEO(Answer Engine Optimization)的な考え方を取り入れることで、集客につながりやすいシナリオ設計が可能となります。
まずは、自社が属する業界のAI検索上での露出状況をマクロ視点で確認したい場合は、無料で利用できる「AEO Sensor」が参考になります。業界全体のトレンドを把握した上で、自社ブランドの現状をスコアで確認したい場合は「AI Search Grader」もあわせてご活用ください。
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マーケティングオートメーションのシナリオは、一度作って終わりではありません。運用後のデータを分析し、継続的に改善していくことが重要です。
例えば、次のような指標を定期的に確認します。
<確認すべき主な指標>
もし成果が想定より低い場合は、ターゲット設定、コンテンツ内容、配信タイミング、チャネル設計などを見直し、改善を繰り返します。また、顧客データの蓄積によってターゲット像や行動傾向が変化することもあるため、ペルソナやカスタマージャーニー自体を定期的に更新することも大切です。
継続的にPDCAを回しながらブラッシュアップすることで、シナリオの精度と成果を高められるでしょう。
ここからは、マーケティングオートメーションのシナリオ事例をBtoBとBtoCに分けてご紹介します。シナリオ作成の参考にご活用ください。
ウェビナー実施におけるシナリオ例は以下のとおりです。
HubSpotの「Marketing Hub」を活用してシナリオを設計すれば、ウェビナー実施におけるリマインダーメールの送信や参加者・欠席者へのフォローアップ、営業部門への連携が容易に行えます。
ウェビナーの登録者を対象に、見込み客の動的リストを作成します。続いて、自動送信のメールを選択し、リマインダーメールのコンテンツを入力しましょう。続いて、ワークフローに配信スケジュールと作成したメールを設定します。
ウェビナー参加者と欠席者の動的リストを作成します。参加者には参加のお礼とともにウェビナー動画や資料にアクセスできるURLを送付してフォローアップを行いましょう。また、欠席者にも同様に、動画や資料へアクセスできるURLや関連情報を送付すると良いでしょう。
フォローアップによる継続的なコミュニケーションにより、良好な関係構築が可能となります。なお、Marketing Hubを活用すれば動画の視聴者と未視聴者とをセグメントできます。見込み客の状況把握がより正確に行えるので精度の高いアプローチを実施できるでしょう。
ウェビナーの申し込みフォームを表示したものの、入力せずに離脱した見込み客の動的リスト作成も可能です。ウェビナーコンテンツの価値を改めて伝えるため、再案内のメールを送信し、再度関心喚起を図りましょう。
SaaS(Software as a Service)製品の無料トライアル申込者に対しては、トライアル開始後の経過日数に応じてステップメールを配信するシナリオが有効です。
例えば、申し込み直後にトライアル開始の案内とお礼を送り、3日後に活用事例の紹介、1週間後に本申込のメリットなどを送ることで購買意欲を高められます。
MAツールを使用すれば、各ステップの開封率やクリック率などの反応を確認できます。また、配信途中で、見込み客の属性に応じてシナリオを分岐させ、アプローチを変えることも可能です。
無料トライアル終了後、本申込に至らなかった見込み客に対してはアウトバウンドコールを行い、なぜ本申込に至らなかったのかなどの課題をヒアリングしてフォローアップへつなげると良いでしょう。
展示会に参加した見込み客へは名刺交換を行い、スピーディなフォローアップを行うことで製品導入の可能性を向上できます。見込み度合いに応じたシナリオを設計しておきましょう。
まず、名刺を交換した相手の情報をMAツールに登録し、後日フォローアップメールを送信します。このとき、見込み度合いの高さによってセグメント分けを行っておきます。
見込み度合いの低い見込み客に対しては、テンプレート化されたシナリオメールを送信しましょう。メールには、展示会への参加のお礼と製品の詳細説明を記載して、再度興味を引きます。
一方で、製品に強い興味を示した見込み客には、営業担当者が電話で直接コンタクトを取ります。見込み度合いで対応を分けて効率的にフォローアップを行いましょう。
展示会やウェビナーで獲得した見込み客への初期アプローチは、スピードが成果を大きく左右します。興味関心が高まっているタイミングで適切なフォローを行えなければ、競合他社へ流れてしまう可能性もあるためです。
そこで注目されているのが、AIエージェントを活用した営業アプローチの自動化です。
例えば、HubSpot Sales Hub の「Prospecting Agent」を活用すれば、スコアリングされたリードに対して、AIが自動で優先順位付けやアウトリーチ文面の生成を行うことが可能です。営業担当者は「今どの見込み客へアプローチすべきか」を把握しやすくなり、対応タイミングを逃しにくい営業体制を構築できます。
また、MAによるナーチャリングとAIエージェントによる商談化支援を組み合わせることで、マーケティング部門から営業部門への引き渡しもスムーズになります。
例えば、メール開封率やウェビナー参加状況、資料閲覧履歴などをもとに有望リードを抽出し、AIが営業アプローチを支援することで、効率的な案件創出につなげられるでしょう。
Prospecting Agentについての詳細は以下の記事をご参照ください。
モバイルアプリを配信している小売企業においては、プッシュ通知とクーポン配信を組み合わせて来店促進のためのシナリオを展開することが可能です。
事前にモバイルアプリとMAツールを連携させて、ユーザーの位置情報がMAツールに届くよう設定しておきます。そのうえで、ユーザーが店舗から特定の距離に近づいたときに、プッシュ通知でクーポンを自動配信するシナリオを作成しましょう。
このシナリオはシンプルなため、情報過多になりすぎないよう注意が必要です。例えば、「配信当日限定」のようにクーポンの内容に制限をかけて、来店を促せるようにプレミア感を演出しましょう。
見込み客の状況やニーズを考慮してカスタマージャーニーを練り上げ、効果的なシナリオを作成しましょう。
Webショップで商品をカートに入れたものの購入を完了しなかった見込み客に対して、一定期間経過後にリマインドのメールを送るシナリオを展開すれば、購買促進が期待できます。
リマインドメールには、カート内に残された未購入アイテムの案内や割引クーポンなどの限定オファーを記載します。購入に関するよくある質問と回答などを記載して不安を解消し、購入のハードルを下げるのも有効です。
なお、リマインドメールはなるべく早いタイミングでの送付をおすすめします。見込み客のなかには購入意欲が減退したからではなく、商品をカートに入れて検討している人や購入意欲は持っていても購入完了に至っていない人が少なくないからです。
例えば、カート放棄から3時間後、1日後、1週間後と複数回メールを送信し、フォローアップを行いましょう。
MAのシナリオについて、よくある質問をまとめました。
マーケティングオートメーション(MA)のシナリオとは、MAツールを活用し、見込み客の行動や状況に応じて、適切なタイミングで情報提供やアプローチを自動的に行うことで、効率的なリード育成や顧客との関係構築を実現するための設計です。
メール配信やフォローアップを自動化することで、効率的なリード育成や関係構築につながります。
まずは「何を達成したいのか」という目的を明確にすることが重要です。
例えば、「資料請求数を増やす」「ウェビナー参加者を増やす」など、具体的な目標を設定することで、配信内容やKPIを整理しやすくなります。
ペルソナを明確にすることで、「誰に向けて、どのような情報を届けるべきか」が整理しやすくなるためです。
顧客データやアンケート、営業ヒアリングなどを活用し、実際の見込み客像に近いペルソナを設計することが重要です。
感覚だけで設計するのではなく、アクセス解析や問い合わせ履歴、CRMデータなどをもとに仮説を立てることが重要です。
実データを活用することで、より精度の高いシナリオ設計につながります。
いいえ。シナリオは運用後の分析と改善が重要です。
メール開封率やコンバージョン率などを確認しながら、コンテンツや配信タイミングを見直し、PDCAを回して継続的にブラッシュアップしていきます。
マーケティングオートメーション(MA)のシナリオは、見込み客の行動や興味関心に応じて適切なアプローチを行い、効率的なリード育成や関係構築を実現する重要な施策であることをご紹介しました。
効果的なシナリオ設計を行うポイントは以下のとおりです。
また、マーケティングオートメーションでは、以下のようなシナリオ設計が活用できます。
シナリオは一度設計して終わりではなく、顧客行動や市場環境の変化に合わせて継続的に改善することが重要です。
本記事で解説した内容を参考に、自社に合ったマーケティングオートメーションのシナリオ設計を進めてみてください。
Marketing Hubは、HubSpotのCRMに集約された顧客情報を結び付ける統合型のマーケティング オートメーション ソフトウェアです。有益なコンテンツを提供して自社に興味を持ってもらい見込み客と接点を構築。さらに、マーケティング業務を自動化し、最適な方法とタイミングで見込み客や顧客にアプローチしましょう。
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